羽生結弦がSP首位発進 5年ぶりV奪還へロックオン「すごくいい練習をしてきた」

 「フィギュアスケート・全日本選手権」(25日、ビッグハット)

 世界選手権(来年3月・ストックホルム)代表選考会を兼ねて開幕し、男子ショートプログラム(SP)で、5年ぶりの奪還を目指す羽生結弦(26)=ANA=は103・53点で首位に立った。ロック調の新プログラムで会場を魅了した。2位は11月のNHK杯で初出場優勝を果たした鍵山優真(17)=星槎国際高横浜=で98・60点。4連覇中の宇野昌磨(23)=トヨタ自動車=は94・22点で3位発進となった。男子フリーは26日に実施する。

 ロックスターさながらに羽生が銀盤を支配した。黒のジャケット風衣装を身にまとい、英国のスター歌手ロビー・ウィリアムスのアップテンポなロックナンバーに鼓動を重ねた。時に手拍子を求め、観衆をあおる。両手を広げて演技を終えると、出し切ったような表情でにっこり笑った。会場は総立ちだった。

 4回転サルコー、続く4回転-3回転の連続トーループを着氷。演技後半のトリプルアクセル(3回転半)も、音楽にぴたりと合わせながら降り、高い加点を引き出した。規定の回転数を満たさずスピン1つが0点となり「点数的にはいい演技とは言えない内容」としたが、320日ぶりの実戦。「楽しむことはできた。しっかり修正しながら明日(フリー)へ向けて頑張りたい」と受け止めた。

 曲名の「レット・ミー・エンターテイン・ユー」は「楽しませてやるぜ」を意味する。4季ぶりとなる激しいロックナンバーに、コロナ禍への思いを込めた。当初検討していたのはピアノ曲。振付師のジェフリー・バトル氏から数曲の提案があったが「自分の中でしっくりくるものがなくて」と羽生は言う。

 「ニュースだとか、世の中の状況を見ている中で、やっぱり明るい曲の方がいいなと。せっかく皆さん、こんなつらい時でも、自分のスケートを見てくださっている。ちょっとでも明るい話題になったらなと思った」

 世界を励ますプログラム。羽生流が随所にちりばめられている。振り付けはバトル氏とのやりとりが基本だが、手の振りや、動きと音とを合わせる工夫は自分でアレンジを加えた部分が多いという。中でもこだわりは「押し引きみたいなもの」と羽生。「全部見どころみたいにしようと思った」と過去のプログラムの“見せ場”も詰め込んだ。コロナ禍、一人で練習を重ねながら「試行錯誤してやってきた」と明かした。

 26日のフリーでは、戦国武将・上杉謙信の生涯を描いた大河ドラマ「天と地と」を演じる。「すごくいい練習をしてきた。しっかりと、まとまった演技をしたい」。5年ぶりの奪還へ。出陣だ。

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