朝乃山が大関昇進!史上初無観客場所で富山出身111年ぶり 天国の恩師に朗報届けた

 「大相撲春場所・千秋楽」(22日、エディオンアリーナ大阪)

 大相撲史上初の無観客場所で東関脇朝乃山(26)=高砂=が新大関昇進を決めた。大関貴景勝(千賀ノ浦)を押し倒して11勝目(4敗)。三役3場所で計32勝と昇進目安の同33勝には届かなかったが、本格四つ相撲のスケール感、4場所連続2桁勝利の安定感が高く評価された。昇進を預かる審判部が全取組終了後、臨時理事会の開催を八角理事長(元横綱北勝海)に要請し了承された。25日、夏場所(5月10日初日、両国国技館)番付編成会議と同理事会を経て富山出身では太刀山以来、111年ぶりの新大関が正式に誕生する。

 天国の恩師2人が後押ししてくれた。富山商の浦山英樹監督と近大の伊東勝人監督が2階席の一番端で見ている-。朝乃山はそう「心の中で決めていた」と言う。「名前を呼ばれ土俵に上がる前にそこを見た」と勇気をもらい大一番に臨んだ。

 貴景勝の突き押しを馬力ではね返す。得意の左でまわしを取って逆襲し、圧力をかけて押し倒した。若き大関を真っ向勝負で粉砕。2横綱に連敗し、しぼみかけた夢を執念の11勝目でつなげた。

 昇進目安に、あと1勝届かなかったが審判部は協議し昇進相当で一本化。境川審判部長代理(元小結両国)は「右四つの形があるし、申し分ない安定感がある。堂々とした相撲を取っている。資質、伸びしろは十分。(横綱も視野に?)大丈夫。(33勝は)あくまで目安」と評価。全取組終了後、八角理事長に臨時理事会の招集を要請し了承された。同理事会で昇進を見送られた例はなく事実上、大関昇進が決まった。

 伝え聞いた朝乃山は「実感がない」と繰り返し夢心地。近大時代を過ごした第二の故郷、師匠・高砂親方(元大関朝潮)が大関昇進を決めたのも大阪だった。「大変うれしい」と笑みを浮かべた。

 富山商時代から大関を目標にしてきた。右四つを徹底して教えてくれた浦山監督は17年初場所、自身が新十両昇進を決めた直後に死去。浦山監督は「プロの関取を育てる」のが夢だった。その夢を受け、「ねちねちと」左上手の取り方を訓練した伊東監督も今年初場所中に急逝した。

 今場所、苦しい時、「自信を持っていけ」、「しっかり当たれ」と2人の言葉を思い出した。「自分を信じる。やってきたことを信じてぶつけた」。天国に朗報を届けた。

 大関どり初挑戦で一発合格。新大関は富山出身では111年ぶり、学生相撲出身では琴光喜以来13年ぶり。三役を3場所通過は昭和以降8位タイのスピードだ。

 「大関は呼び方も違うし、もし大関になったら小さい子供やプロの世界に入りたいと思えるような、尊敬されるようになりたい」と決意表明した。

 注目の大関昇進伝達式は25日。「中学の時からずっと使っている言葉がある。それを入れようと思う。四字熟語?そうです。かみそうじゃないですか」と早くも口上を頭に描いていた。

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