“伝説のボクサー”が特別強化コーチに アマボクシング合宿

 昨年9月に新体制となった日本ボクシング連盟が、3月1日から4日まで東京都内の味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)で男子トップ選手による合同合宿を行った。2020年東京五輪での競技実施は未定だが、アジア選手権や世界選手権に備えた実質的な五輪代表候補合宿だ。16年リオデジャネイロ五輪代表の成松大介(29)=自衛隊=らに加え、プロの元4団体制覇王者、高山勝成(35)=名古屋産大=も実績により招へいされ、約40人がトレーニングをともにした。

 今合宿に特別強化コーチとして参加していたのが、現役時代に多くの国際大会で活躍した元山陽高(広島)監督の今岡紀行氏(48)。日本連盟の内田貞信会長が直接広島まで行って、強化に力を貸してほしいと口説き落としたという。

 ライト級からウエルター級の3階級で10年連続出場した国体や全日本選手権などを制し、国際大会の経験も豊富な今岡氏は、同じく全日本王者の弟の賢覚氏と兄弟ボクサーとしても知られた。広陵-法大で活躍し、ベルリン国際トーナメントなど国際大会では銅メダルを2度獲得。国内屈指の強豪だったが、プロには進まずアマキャリアを貫いた。

 2016年までの15年間は山陽高の監督などを務めた。「部員ゼロで廃部寸前だった」という同校を、海外経験を生かしたトレーニングで鍛え、インターハイや国体へ選手を輩出。鍛えあげられた体は今も現役さながらだ。内田会長は「伝説の選手。たぶん今でも選手より強いんじゃないか」と冗談交じりに言うが、その経験と指導力は高く評価している。「左の強化をお願いしたい。選手には長いジャブを学んでほしい」と期待する。

 現役時代は旧ソ連から日本に渡り、後に世界王者となったオルズベック・ナザロフらとも対戦。まだ東ドイツ時代だった1989年のベルリン国際では、「西側の人がこちらに手を振っていて驚いた」と“国境の壁”の緊張感を目の当たりにしたという。豊富な海外経験は、五輪の大舞台を目指す若い選手の力になるだろう。

 日本選手に必要なものはまず「スピード」だという。「器用な日本人はテクニック的にはすぐれている。スピードが速ければパワーも生まれる。馬力も出る」と分析。大学卒業後から務めてきた中電工業のサラリーマン。日の丸を背負う指導者として、二足のわらじで自らの経験を後輩たちに還元する。

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