松本薫が復帰「仕上がり70%」“ママ野獣”が2試合一本勝ち
「柔道・全日本実業団体対抗大会」(10日、久留米アリーナ)
女子2部で、12年ロンドン五輪57キロ級覇者の松本薫(30)=ベネシード=が銅メダルだった16年リオデジャネイロ五輪後、初の公式戦に出場。チームは準々決勝で敗れたが、松本は2試合で一本勝ちを収めた。優勝はALSOK。体重無差別5人制で争う男子1部は今夏のジャカルタ・アジア大会100キロ超級代表の王子谷剛志らを擁する旭化成Aが決勝で新日鉄住金を2-1で下した。旭化成は3年ぶり17度目の優勝。
松本に鋭い眼光がよみがえった。1歳になったばかりの娘を東京の自宅に残して臨んだリオ五輪以来の実戦。野獣と呼ばれた闘争本能を解き放った。
初戦、日本エースサポートの西崎を横四方固めで仕留めた。次戦の松前柔道クラブ・松村からは小内巻き込みで一本勝ち。「体の仕上がりは70%くらい。その中ではいい柔道ができた」。格下相手とはいえ、まずまずの手応えをつかんだ。
出産の影響は残っている。妊娠に気付かずフルマラソンを走るなどしたため、右すねを疲労骨折。「骨に13本の線が入っている。プールで息を上げるトレーニングをしている」という。
それでも復帰を選んだ理由は明快だ。「子育てもしたい。柔道もしたい。1%でも可能性があるなら東京五輪を目指す」。現在は保育園への送り迎えなどをこなし、限られた練習時間を有効活用している。
試合後には「娘は私がいないことに気付いて泣いていたと聞いた。帰って『寂しい思いをさせてゴメンね』と言いたい」とほほ笑んだ。今度は母の顔になった。