柔術デビューの内柴正人氏「差別、区別を受ける覚悟は6年前にしていた」【一問一答・2】

 2004年アテネ、08年北京五輪の柔道男子66キロ級金メダリストで、準強姦(ごうかん)罪で懲役5年の実刑判決を受け、9月に仮出所した内柴正人氏(39)が26日、神奈川・寒川総合体育館で行われたブラジリアン柔術大会で柔術家デビューし、マスター(30歳以上)青帯の部ミドル級、無差別級で優勝した。久々の公の場となった内柴氏と一問一答は次の通り。

 -柔術を始めようと思ったのは。

 「柔道の試合に出られないので、6年間で忘れていた技術とか、今まで知らなかった技術があるのが柔術。柔術の道場で柔道をひとつひとつ思い出して、いつか柔道に戻れたときに、ただの五輪王者じゃなく、もっともっと技術レベルの高くて、しっかり努力できる人間になれたらいい」

 -指導を受ける山田さんから誘いを受けた時期は。

 「(服役中の)ずっと前に手紙をもらった。最初はプロ(格闘技)という話もあったが、僕は柔術に興味があったのでやらせてもらいたいと。柔道は寝技を捨てられるが(柔術は寝技のみ)。いつか柔道に帰ったときのために、よりレベルの高い技術を身につけたいと」

 -現在の練習環境。

 「住まいは(故郷の)熊本で、道場は座間市に通っている。熊本ではジムにも通っていない」

 -世間の目がある上で、出所してあらためて思うこと。

 「できることをやっていくしかない。(前科者として)差別、区別を受ける覚悟は6年前にしていた。何もしないで過ごさなきゃいけない時間を十分過ごしてきたので。この先、どのように苦しんでいくのかは僕が決めること。それが仕事なのか、トレーニングなのか、柔術なのか。社会人としては稼げないので、だめなのかもしれないけど。今まで生きてきた道を大事にするのであれば、種目は違っても柔術で汗を流していきたい」

 -10月に就職が決まった。

 「そうですね。(会社からは)新しい事業をつくるように言われているが、つくる能力もないので、柔術ばかりやっている。この大会のことも会社には言っていない。今日も練習の一環なので。(柔術で)どこを目指すのかは決まっていないけど、会社に認めてもらうのか、スポンサーについてもらうくらい頑張るのか。はたまた自分ができる事業を興して、柔術を続けるのか。稼がないといけないことなので、体ができて、技を思い出して、技を身につけて、それから落ち着けば何らかの形で仕事をしていきたい。今は準備期間中」

 -全柔連からは永久追放処分を受けたが、将来的にどう柔道と携わりたいか。

 「将来的に、5年なのか10年なのかはわからないが、(柔道界への復帰を)こだわっていくことが僕にとっては大事。具体的な目標はないが、己を鍛えて、高めて、人に必要とされる人間になれるように努力していきたい」

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