荒川静香さん トリノ金は“真央に学んだ”「楽しむ大切さを」
フィギュアスケート女子で06年トリノ五輪金メダリストの荒川静香さん(35)が11日、横浜市内で取材に応じた。10日に引退を発表した浅田真央(中京大)の思い出を振り返るとともに「競技を楽しんで表現する大切さを学んだ」と感謝した。
最初に会ったのは自身が高校生で浅田が小学2年生の時で、「この子はすごいスケーターになる」と直感。しかし、想像以上にその時は早く訪れたという。
荒川さんにとって現役最後となった05-06年のトリノ五輪シーズン。「当時、私は進退で葛藤してトンネルに入っていた」。その05年、シニアに上がったばかりの中学3年の浅田が、東京・GPファイナルで初優勝するなど飛ぶ鳥を落とす勢いで活躍。「彼女は本当にスケートが好きで、世界で活躍するには物事を楽しんでやらないといけないんだと思わせてくれた」と述懐する。
06年トリノ五輪では、当時15歳の浅田が、五輪出場年齢資格(前年の7月1日の前日までに15歳であること)を満たしていなかったため、村主章枝、安藤美姫とともに出場した荒川さんが日本史上初の金メダルを獲得。当時を振り返り、「彼女のように楽しんで表現することが大事だったと今でも思う」と強調した。
2人が同じシーズンを過ごしたのはこの1年だけだったが、「そのことは今でも大事にしている」と荒川さん。「彼女がシニアで悩んでいるときは、当時の楽しい気持ちを思いだして欲しいと(浅田に)伝えたこともある」と明かした。
そして、あの時の少女が26歳で引退を決意した。「私自身、辞めどきで悩んだし、アスリートは転換が難しくて、自分ではピークがわからないもの」。自身の経験も踏まえながら話し、「フィジカル的にはまだ向き合えても、一度トップを取った選手はモチベーションを低くできないという重圧もある」と、心情をおもんばかった。