白鵬、逸ノ城に稽古「早く立て!」

 「大相撲夏場所」(5月10日初日、両国国技館)

 大相撲の横綱審議委員会の稽古総見が29日、東京・両国国技館で一般に無料公開で行われた。約7000人の観衆が見守る中、自身2度目の7連覇を目指す横綱白鵬(30)は小結逸ノ城(22)を申し合いで8勝1敗と圧倒、さらにぶつかり稽古でかわいがり、格の違いを見せつけた。逸ノ城は何度も土俵に転がされ、頭から足まで泥まみれとなった。

 満を持して土俵に上がった白鵬が、三番稽古(同じ相手と続けて取る)の相手に指名したのは逸ノ城だった。最初の一番こそ右四つがっぷりから寄り切られたが、ここから先は白鵬が左からの上手投げ、突き落としで土俵にたたきつける。さらに立ち合いでの張り差しで動きを止めると一気に押し出し。完全に子ども扱いだった。

 容赦なく土俵に転がされるたびに、逸ノ城の192センチ、207キロの巨体が泥まみれになっていく。見かねた鳥取城北高の先輩である照ノ富士と貴ノ岩がタオルで逸ノ城の背中についた砂をはたき落とした。最後の一番は右四つに組んで逸ノ城に押させるだけ押させて、時間をたっぷりかけてから余裕しゃくしゃくで寄り切り。8勝1敗という数字以上の力量差を見せつけた。

 しかも、これだけで終わらない。仕上げのぶつかり稽古で早々と逸ノ城の息が上がると、「早く立て!」とゲキを飛ばす。逸ノ城の全身は泥だらけ。観客席のあちこちから「逸ノ城、ガンバレ」と声援が飛んだ。白鵬自身も泥にまみれながら約10分間にわたって期待のホープを鍛え上げて、「稽古始めですからね。とにかく汗を流そうと思いました」と涼しい顔で話した。

 東横綱と西小結は初日で対戦するケースが多く、“前哨戦”で強烈な洗礼を浴びてしまった逸ノ城は、「何もできなかった。さすが横綱です」と疲れ切った表情。本場所で恩返しとなる白星を挙げることができるか。夏場所の戦いはもう始まっている。

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