エースは久保英恵“アイホ娘”に注目

 ソチ五輪の注目競技はフィギュアスケートやスキー・ジャンプだけではない。1998年長野五輪以来、実に16年ぶりに出場権を得た女子アイスホッケーも話題がいっぱいだ。中でもエースFW・久保英恵(31)=SEIBUプリンセスラビッツ=は“氷上のスナイパー”の異名を持つ天才ゴールハンター。日本悲願のメダル獲得へ、競技人生のすべてをかけて放つ魂の弾丸シュートを見逃すな!

 そのシーンを見て、久保は目の前の壁が消えていくのを感じた。北海道苫小牧市内の実家の居間にあったテレビ。画面は2011年女子サッカーW杯ドイツ大会決勝、日本‐米国戦を映していた。日本は延長後半で1点ビハインドという絶体絶命のピンチに立たされていた。だが、この崖っぷちで澤穂希(INAC神戸)が起死回生の同点ゴールを決める。日本はPK戦の末、優勝を勝ち取った。

 「あの得点を入れたシーンは鮮明に覚えています。ああいう本当に大事な舞台で、決めなきゃいけない選手が決めたのはすごい。その時です。私も大きな舞台でもう一度やってみたいと思ったんです」

 4歳でスティックを握り、中学生で日本代表入り。早々と日本のエースFWに君臨した。氷上のスナイパーの異名を取り、世界選手権は通算21得点22アシスト。だが、五輪とは縁がなかった。

 開催国枠で参加した長野以降、ソルトレークシティー、トリノ、バンクーバーとそれぞれ1勝、1点、1勝が足りず、大舞台出場を逃した。さすがにモチベーションは続かず、バンクーバー後の10年春に一度引退した。

 「もうアイスホッケーが嫌いになっていたんです。またあんなつらい状況でやりたいなんて思えず、アスリートとして勝負しようというモチベーションがなくなっていました」

 だが、久保は氷上に帰ってきた。澤の劇的ゴールを目撃したことが、復帰を決意する直接の引き金になったが、かつての名FW・若林仁氏から現役復帰を説得されたことも大きな要因だった。

 「メルさん(若林氏)は『私がいないと日本は勝てない』と本当に熱心に言ってくださった。言われているうちに、よしやってみようと。今はとても感謝しています」

 日本代表に戻った久保は、昨年2月の五輪最終予選で早速結果を出す。3試合2得点3アシストの大活躍で日本に16年ぶりの五輪切符をもたらした。

 「あの時、澤さんを見てエースはこういう場面で決めるんだ、夢は諦めなければかなうんだと思ったんです。私もソチで思い切り得点してきます。今は復帰して本当に良かったと思えます」

 W杯を制した澤のように、日本を世界一に導く。再びスティックを握った久保に、もう迷いはない。

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