独走カープの野村が勝てない訳、大瀬良が負けない訳

 球宴開けの2位・阪神との3連戦(17~19日)は、結果的には緒方カープの2勝1敗で終わり、ゲーム差は「9」に広がった。それまで甲子園4連敗中で、初戦もメッセンジャーを攻略できずに惜敗。しかし2戦目を猛打爆発で制し、3戦目は終盤の猛攻で逆転勝ちと首位を走る底力をまざまざと見せつけた。秋の短期決戦を見据えた「1点を取る、1点を守る野球」が随所に見られ、戦いぶりに安定感があったように思う。

 そんな初戦に先発して今季4敗目を喫したのが野村で、2戦目に投げて無傷の6勝目を挙げたのが大瀬良だった。昨年の同時期を見ると、野村はすでに11勝(2敗)をマークし、大瀬良は故障からやっと復帰してきたばかり(0勝)だった。昨年最多勝利と最優秀勝率の2冠を獲得し、それ以上の活躍が期待された野村だったが、ここまで5勝4敗と勝ち星に恵まれず、一方の大瀬良は、新人の年以来となる先発ローテの一角としてチームに貢献し「負けない大瀬良」の異名が定着しつつある。今回は、この2人の明暗について考えてみた。

 2人のここまでの成績を振り返ってみると、野村は15試合に先発した中で、実に12試合がカードの初戦に登板しているのに対し、大瀬良は同じく15試合の先発すべてが2、3戦目の登板になっている。初戦に各球団のエース級と当たっている野村の場合、先に失点し、味方打線が相手先発に苦しむ間に代打を出されるケースが多く見られた。4月25日の巨人4回戦(マツダ)がいい例で、敵のエース・菅野と緊迫の投手戦を演じながら、四回マギーに喫したソロ1本で敗戦投手になった。いわゆる“完投負け”だったのだが、エース級と投げ合う以上、先に失点すると勝ち星が付き辛くなるのは致し方ない。

 逆に、大瀬良の場合は2、3番手以降の比較的“弱い”投手との対戦で、序盤、中盤まで自分が崩れても打線が援護してくれる試合が多々見られた。ただ、単なる「巡り合わせ」だけではなく、着実に地力も備わっている。真っ直ぐだけで押しまくる一本調子の投球から脱皮し、変化球を巧みに使い分けながら失点を最小限に防ぐ投球をしてもいる。もちろん、野村のようにカードの初戦で投げていれば到底無敗では済まなかっただろうが、2人合わせて考えると、昨年の野村の勝ち分が分散したとも取れる。

 勝ち星は伸びてはいないものの、野村に対する首脳陣の信頼感に何ら揺るぎはない。巨人の田口、菅野に次ぐリーグ3位の防御率(2・60)は立派だし、投球回数も一時故障で離脱があって93回1/3だから悪くない。今後もジョンソンと共にカードの初戦で回っていくだろう。下にいる阪神やDeNA、巨人が2位やCS圏内を確保するために直接の相手に主力級をぶつけることが予想されるので、野村の勝ち星は秋に向けて増えていくと思う。彼は今まで通り、辛抱強く投げていけばいい。

 最終的に2人の勝敗がどうなっているか。リーグ連覇に向けた楽しみと共に、こちらも注目しておいてほしい。

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