【球数制限を考える9】体をイメージ通りに動かすことが野球センス

 「高校野球 焦点・球数制限を考える・9」

 史上歴代2位の甲子園春夏通算99勝をマークしている龍谷大平安。伝統校の練習は他校とは違ったウオーミングアップで始まる。シーズンオフは約2時間、シーズン中でも1時間。体の動作を学ぶことから始める意図、球児の肩肘を守る意識について原田英彦監督(56)が語った。

 龍谷大平安では必ず特別なウオーミングアップから練習が始まる。ほふく前進、ブリッジウオークなど-。それが選手を故障から守る上で、欠かせないものと原田監督は語る。

 「関節の柔軟性、可動域を確保することが狙い。そして自分の体をイメージ通りに動かす練習です。体育の授業でマット運動をやらなくなったり、最近は自分の体をうまく扱えない選手が増えた。自分の体をイメージ通りに動かすことが野球センス。昔、野球部の子は他のスポーツをやっても、上手だった。でも今はそうじゃない」

 その傾向はスポーツの多様化による選手の分散、危険を伴う運動は避けがちな教育の変化によってもたらされた。

 「野球なら野球しかできない子が多い。だから遊びの部分を練習にうまく取り入れて、体のこの部分を使うとか、どこに力を入れるかを覚える。それが理解できると、不必要な力は抜ける。今は何が何でも力を入れてやる子が多い」

 一つの動作に入る不必要な力。それが故障の原因と分析する。

 「だから体を消耗せずに投げる投球フォームは絶対にあると思うんです。下半身から上半身にうまく力を伝える。そこで関節の可動域が制御されてしまうと、自然と他の部位に無理がかかる。高校生は筋肉の発達も含めて、一番、成長期に入っている段階。だから柔軟性を持たせておくことで、今後の野球人生にもつながる」

 投手の肩肘を守るためには、球数制限だけでいいのか。原田監督は疑問符をつける。

 「画一的に球数を制限するのはクエスチョン。公式戦で1試合を完投するために130~140球が必要です。そのボールすべてに意味を持たせるならば練習で投げる、走るが基本になる。そして故障しないような体の使い方、フォームを覚えないといけない」

 (続けて)

 「ボールを握ることを根本的に間違っている子も多いですよ。ボールをつかむと言えば、握るイメージですよね。でも今の子は手の甲を下にして“拾う”ような持ち方をする選手が多い。野球を始める時に教わっていないんです。だから肩肘にすごく負担がかかる。普通は投げられないと思うんですが、習慣になってしまっている」

 指導の現場で、原田監督が最も大切にすることとは-。

 「選手には高校3年間で悔いを残してほしくないんです。そのための体作りをしっかりできるように。医療サポートや、ウエートトレーニングに関しても、アフターケアが大事。関節の動きが制限されると間違いなく故障につながってしまう。いかに子供の体を消耗させずに、強化していくか。そこが一番のテーマだと思います」(続く)

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