広島・田村 「『越えてくれ』と思いながら走っていた」九回2死から値千金V三塁打! 新井政権初の甲子園カード勝ち越し

 9回、先制となる適時三塁打を放った田村(撮影・北村雅宏)
 9回、中越えの先制適時三塁打を放つ田村(撮影・立川洋一郎)
 1回戦の対東北学院戦で本塁打を放つ愛工大名電・田村=21年8月11日、甲子園
3枚

 「阪神0-1広島」(11日、甲子園球場)

 広島・田村俊介外野手(20)が値千金の一打でチームに勝利をもたらした。0-0の九回2死二塁でゲラの155キロを捉え、中越えに適時三塁打。高校時代には夏の甲子園で本塁打も放った若鯉。思い出の地で奏でた一振りが試合を決めた。チームも2カードぶりの勝ち越し。新井政権では初の、甲子園でのカード勝ち越しとなった。

 みんなの思いを乗せた打球が、低い弾道で伸びていく。その行方を追いながら、田村は祈りを込めていた。「ちょっと詰まっていたので『越えてくれ』と思いながら走っていた」。白球が前進守備の中堅・近本の頭上を越えた瞬間、歓声と悲鳴が交錯する。勢い良く三塁へ滑り込んで、力強いガッツポーズを繰り出した。試合を決めた大きな一打。手に汗握る接戦でチームを最高のフィナーレへと導いた。

 場面は九回2死二塁。ゲラとの勝負で2球スライダーが続いた。「速い球に振り負けないようにと思っていた。スライダーも少し頭にあったけど、自分の中で当てられそうだった。まずは真っすぐを一番に考えて」と速球への対応に神経を研ぎ澄ませた。そして3球目、準備していた155キロに鋭く反応し、均衡を破る値千金の長打。ベンチは興奮に包まれ、左翼スタンドの鯉党からは大歓声が注がれた。

 緊迫した投手戦が続き、相手先発・西勇に苦戦が続いた。田村自身も四回2死三塁の先制機で遊飛に凡退。「投手がゼロに抑えてくれている中で援護できず、それがずっと悔しかった。最後(打席を)回してもらって決められたので良かった」と笑みを浮かべた。

 今3連戦はプロに入って1、2軍通じて初めての甲子園。愛工大名電では21年、エース兼3番打者として夏の甲子園に出場。1回戦の東北学院戦でチームは敗れたが、八回に右中間へソロ本塁打を突き刺していた。

 当時はコロナ禍もあってスタンドは学校関係者のみ。今回は球場の大部分を虎党が占め、空気は様変わりしていた。「高校の時はスタンドにお客さんがいなかったので、圧がすごいなと初戦は感じた」と話しながらも、アウェーの雰囲気にのまれず大仕事をやってのけた。思い出の舞台で躍動した姿が頼もしい。

 この日は試合前、打撃コーチとブルペンにこもって打ち込みを敢行。「きのう(10日)まで逆方向にしか打球が飛ばなかった」という現状を踏まえ「先に振れる体勢を作っておく」という修正が奏功して“155キロ撃ち”につながった。

 新井監督も「あの場面で本当によく打った」と絶賛した。新井カープとなってから甲子園での勝ち越しは初。「あしたから連勝できるように頑張りたい」と田村。勝負強い若武者が、春先のチームをさらに押し上げる。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

広島カープ最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス