阪神との首位攻防戦 広島にとって勝ちに等しい引き分け 達川光男氏「V争いの分岐点になるかも」

 「阪神タイガース2-2広島東洋カープ」(29日、甲子園球場)

 後半戦早々の首位攻防3連戦・第2ラウンドは延長12回で決着がつかず引き分けた。阪神が先行し、広島が追いつく試合展開。野球評論家の達川光男氏は「広島にとっては勝ちに等しい引き分け」と語り、3戦目の結果次第では優勝争いの“分岐点”となる可能性にも言及した。

  ◆◆◆◆◆◆  

 阪神の勝ちパターンを崩して追いついたことを考えると、カープにとっては勝ちに等しい引き分けじゃったと言えるね。逆に阪神にすれば負けに等しい引き分け。負けと一緒ということですよ。それほど大きな意味を持つ試合になったね。

 (試合展開は阪神が初回、中野の適時打で先制。三回、広島が小園の右前打で同点にすると六回、阪神は佐藤輝の右越えソロで勝ち越し。広島は八回に小園の左中間二塁打で再度追いついた)

 天王山と呼ぶには早いかもしれないが、私は今回の直接対決を非常に大事な3連戦だと見ている。

 初戦に阪神が勝ち、カープの連勝を10で止めた時は“さすがに地力があるな”と思いましたよ。3戦目の先発が今ひとつ調子の上がらない大瀬良だけに、2戦目も負けると3連敗があるかもしれない。ここで引き離されると厳しくなると。

 大型連勝後の3連敗だけはダメ。敵地甲子園だからそんな危険性もあった。それだけにね。しかも序盤は前日の勢いを生かす阪神優勢の試合展開だったから、負けゲームを引き分けにできたのは本当に大きいですよ。

 さらに言うと、広島戦で実績の薄い青柳(1勝4敗)に勝ち星を献上しなかったのも大きいね。投球内容は良かったと思うし、本人も手応えを感じ取ったに違いない。

 ただね。いい投球をしても勝てなければ尾を引くもんですよ。それは歴史が物語ってますよ。

 阪神は大竹や村上、伊藤ら好投手が多いが、やっぱり中心にいるのは2年連続最多勝の青柳でしょう。その青柳に勝ちがつくと自信になるし、勝てないと苦手意識は払拭できないままだから。

 さて注目すべきは3戦目ですよ。2戦目を引き分けたことで3連戦3連敗がなくなったカープとしては、勝って1勝1敗1分けの五分で乗り切ることができれば御の字だし“いける!”という大きな自信にもつながる。

 それだけに阪神は負けて五分で終わるわけにはいかない。勝負は先とはいえ、これはペナントの行方を左右する分岐点となる可能性すらありますよ。

 カープにとって大きな味方になるのが経験。優勝経験の有無はデカいですよ。菊池に田中、大瀬良や九里、中崎、野村…堂林や野間、上本らも経験している。秋山も西武時代にね。そこが阪神との大きな違い。一度通った道はみんな覚えているはず。どこをどう曲がれば目的地にたどり着くのかをね。

 数字的には阪神が広島を上回ってますよ。対戦成績や投手成績もそうだが、直近のデータで言うなら投手部門で広島は負けてない。“ストライクゾーンの中で勝負”という黒田博樹球団アドバイザーの指導で投手陣が逃げなくなった。度胸がついたというか。打たれることを怖がらなくなりましたよ。リリーフ陣は阪神を上回ってるんじゃないですか。

 それと気になるのは阪神の選手の大振り。気持ちが先行してか、ボール球を振ってる。これはいけんね。カープは延長に入っても普段通りの食らいつく野球を見せていた。

 次の直接対決は8月中旬、地元マツダでの3連戦になるが、その前に日曜日の3戦目。これは重要な試合になるじゃろね。特に阪神にとって。まあどっちがどうというより、この緊張感のある戦いを最後まで続けてほしいですよ。

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