怪我の功名?で「投球の幅が広がった」 手術明けの広島・高橋昂を北別府氏が絶賛
広島・高橋昂也投手(24)が対巨人5回戦(東京ドーム)で3年ぶりの勝利を挙げた。デイリースポーツウェブ評論家の北別府学氏は左肘の手術を経験した同投手に、「ケガをして初めて分かることもある。(ブランクの間に)ヨコの変化を覚え、投球の幅が広がった」と絶賛した。
(今季2度目の先発登板となった24日の巨人戦で5回1/3を6安打、3失点。3シーズンぶりに勝利投手となった高橋昂だが、特筆すべきは無四球。制球の乱れはほとんど見られなかった)
巨人戦は少しヒヤヒヤする場面はあったけど、今年初先発となった18日の中日戦(3シーズンぶりの1軍登板)と共通して言えるのは、かつてより投球の“間合い”が格段に良くなってきたこと。
故障する前までは投球リズムが悪くて、1球1球の間合いが長く、ボールになるケースが目立っていた。
間合いが長くてもその後、きちんと仕事をすればいいんだけどね。しっかりストライクを取るか打ち取るか。そうしないと後ろで守っている野手陣までイライラさせてしまうからね。
間合いが長い上にストライクが入らないようなことは絶対に避けないといけない。そうなると相手と勝負する前に、自分のピッチングで、いっぱいいっぱいになってしまう。
そのあたりが改善されていたことと、もうひとつの大きな成長は、カットボールやスライダーなど、「ヨコの変化」でストライクを取れていた点。自分有利のカウントに持ち込み、追い込んで勝負ができていたのがよかった。
かつては直球とカーブ、フォークのタテの変化に頼って投げていた。これにヨコの変化が加わり、ストライク先行で、テンポよく投げていたね。
直球は速くて145~146キロかな。以前より落ちていたと思うが、スピードよりもコントロールが大事。追い込むことで、自分の“型”に持ち込むことができるのだから。全力投球しなくてもストライクが取れる。投手はこれが一番ですよ。
ケガをして初めて分かることもある。手術して150キロ出なくなったとしても、違う球を覚えて見せることができれば進歩につながる。
もともと彼は特長のあるカーブを投げていた。リリースの際、ボールの軌道が瞬間的にフワッと浮くため、打者はアゴが上がるような感じになる。さらにヨコの変化を覚えたことで、投球の幅が広がったと思う。
今年の広島は、先発投手が故障や不調で何人か入れ替わってはいるが、リリーフ陣を含め、全体的には安定している。
その中で、開幕後に合流してきた高橋昂は数少ない先発左腕で貴重な存在。ローテーション投手として定着してほしいね。