新井OP戦1号!原点回帰打法で一発

 「オープン戦、ヤクルト1-8広島」(15日、神宮球場)

 広島・新井貴浩内野手(39)がオープン戦1号を放った。4-1の八回1死、ヤクルトの新外国人・ペレスのスライダーを左翼席に運んだ。通算2000安打まであと29本、300本塁打まであと13本で迎える今シーズン。鯉党に夢を与えるような一撃にこだわり、数多くのアーチをかける意気込みを結果で示した。

 やや体勢を崩されながらも、新井は左手でバットを高く放り投げた。手に残る感触に確信があった。白球はあっという間に左翼席に消える。オープン戦1号。自慢のパワーを見せつける一撃だ。

 「追い込まれていたので、センター返しを意識していた。(変化球に)しっかりと対応できた。ヘッドが返るのも我慢できた」。三塁側を埋めた鯉党から温かい声援を背中に浴びながら、納得のスイングに表情が緩んだ。

 五回の守備から出場。第1打席となった4-1の八回1死、ペレスの甘く入ったスライダーを逃さなかった。「きょうは新井さんに尽きる。集中力を持って、一振りで決めてくれたね」と緒方監督。指揮官が最敬礼する打撃で、神宮の青空に美しい放物線を描いた。

 マイナーチェンジした打撃で結果を出した。今年から左手の薬指と小指の間付近にグリップエンドを掛け、指1本分バットを長く持つ。追い求めるのは、ヘッドの重さを利かせ、遠心力を最大限に利用したスイングだ。

 05年に43本で本塁打王を獲得した長距離砲は、昨季わずか7本塁打に終わった。試合の流れを一気変える一振りが自身の魅力。原点回帰した。

 シーズンではルナ、エルドレッドの後ろ、6番に入る可能性が高い。外国人が主軸を担うことで、走者を得点圏に置いた打席の増加が予想される。状況に応じて確実性を求め、グリップを余らせたコンパクトなスイングに徹することもある。だが、一発の恐怖心を昨シーズン以上に植え付けられれば、相手にとっては大きな脅威になるはずだ。

 あと29本に迫った通算2000安打に加え、史上42人目となる300本塁打まであと13本。記録達成は、はっきりと視界に入る。「オープン戦とはいえ、打てることに越したことはない。開幕は近づいている。これからもしっかりと練習して、内容的にも上げていきたい」と新井。25年ぶりの悲願達成。そして自らの大記録へ-。夢をかなえるのは、フルスイングだ。

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