星稜3年生ナイン笑顔の花道 林監督発案1&2年生と引退試合 石川大会辞退から4カ月

九回の攻撃の前に円陣の中心で鼓舞する林監督(右)と笑顔の3年生
試合後の整列で下級生にエールを送る3年生
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 部員の新型コロナウイルス感染のため7月の石川大会を辞退した星稜は14日、来春での退任が決まっている林和成監督(46)ら指導者の発案により、金沢市内の同校グラウンドで3年生の引退試合を開催した。試合は3年生対1、2年生で行われ、3年生が惜しくも敗れたものの先輩の意地も見せた。不完全燃焼で最後の夏を終えた3年生は、高校野球に区切りをつけ、新たな道に進む。

 3点を追う九回の攻撃前の円陣。「数々の修羅場を乗り越えてきたお前たち。逆転を見せてくれ!」と林監督が3年生に叫んだ。すると無死満塁から、押し出し四球、中犠飛で1点差に迫る意地の反撃。わずかに及ばなかったが、来春センバツを当確させている下級生を相手に善戦し、最後の花道を飾った。

 「今までで一番楽しかった試合。スッキリしました」と元主将の中田達也外野手(3年)。林監督が「ずっとやりたいと考えていた」と発案した引退試合で、高校野球に区切りをつけることができた。

 今夏の石川大会準決勝前日。室内練習場に呼び出されたナインは、部員の新型コロナウイルス感染による大会辞退の決定を聞かされた。林監督は涙ながらに「ここに来たことを恨まないでくれ」と話したという。4月の石川県招待試合で今夏甲子園Vの智弁和歌山にも勝利し、本気で日本一を目指していた最中に起こった悪夢。蒸し暑い室内でやりきれない思いが交錯し、涙が止まらなかった。

 3年生の胸の内には「全国制覇もできたんじゃないか」というモヤモヤした思いがあったが、この日で晴れた。試合後には2つ上の先輩、ヤクルト・奥川からのメッセージを指揮官が代読。「挫折した後には必ず得るものがある。ここにいる仲間を大切にしてください」と伝えられた。

 林監督は「今年の夏以上のことも訪れるだろうけど、向き合って乗り越えてほしい」と3年生にエールを送った。「挫折があったからという人生にしていきたい」と前を向いた中田。この経験を糧に、3年生は未来に歩を進める。

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