高校から基本できていたヤクルト・村上 松田スカウトが明かす獲得秘話

 九州学院時代の村上
 ヤクルト・松田慎司スカウト
2枚

 「DeNA1-5ヤクルト」(26日、横浜スタジアム)

 ヤクルトが阪神とのデッドヒートを制して2015年以来、6年ぶり8度目の頂点に立った。高津臣吾監督(52)は就任2年目で初優勝となった。9月に球団新の13試合連続無敗などで勢いに乗り、最大7ゲーム差をつけられた阪神を逆転。前年最下位からの優勝は、セ・リーグで5度目となった。

  ◇  ◇

 球界の主砲になりつつある村上宗隆の担当スカウト・松田慎司氏(53)が、デイリースポーツだけに驚きの獲得秘話を明かした。青木、山田ら、生え抜きスターが勢ぞろいする中で、絶対的な主砲に君臨する21歳。その背景に迫った。

 何十年に一度の逸材だった。17年のドラフト時は、シーズンで96敗するほど投手力が落ち込んだ時期と重なる。それでも「高校生であのレベルの選手は出てこない」とスカウト陣の総意で高卒野手獲りに着手した。清宮(早実)の外れ1位で村上を指名し、巨人、楽天との競合の末に獲得。決め手は、四球の数だった。

 村上のすごさを問えば開口一番に返ってくる答えが「広角に打てる本塁打」だった。だが松田スカウトは別の部分に着目。「彼は当時からボール球は振らなかった。普通は打ちたい気持ちが勝るものなんですけど、特にスカウトが来ていたら。それでもかなり四球が多かったですね」と振り返る。

 高校時代から187センチ、95キロと恵まれた体格の大砲候補。当時から足を運んだ試合数は多く、見つめた打席も無数に思い浮かぶのだが、「何試合も見て、3分の1くらいは四球だったかな」と笑う。そして「僕らはビデオを撮るんですけどね、撮っては消して。また四球…撮っては消しての繰り返しでした」。

 現在の四球の数は、リーグトップを独走する105個。松田スカウトは「我慢できるっていう気持ちが強いのが一つ」とし、「ボール球に手を出さないのは、野球の基本ですからね」。当時から変わらない姿を思い返し、目尻をそっと下げた。

 プロ2年目から目覚ましいスピードで成長曲線を駆け抜けていった村上。19年には新人王を獲得するも、リーグ記録の184三振という不名誉な記録も作ったが、松田スカウトは「頑張れって言いたいんですけど、もう頑張っているので。結果は本人が一番わかっていますから」と見守ったという。

 スカウト歴15年。山田の担当スカウトでもあった松田スカウトには信念がある。「野球の基本ができているか。調子が悪いときにどういう顔をしているかは見ていますね」-。成長期を越え、成熟期へ。優勝チームの4番に村上はたどり着いた。

 ◆松田 慎司(まつだ・しんじ)1967年12月17日生まれ、53歳。兵庫県出身。現役時代は左投げ左打ちの投手。報徳学園から西濃運輸を経て1992年度ドラフト2位で日本ハム入団。96年にトレードでダイエーへ移籍。97年オフに戦力外通告を受け98年にヤクルトへテスト入団。01年にはリリーフで48試合に登板するなどリーグ優勝と日本一に貢献した。03年に現役を引退してからは球団スカウトを務める。

野球スコア速報

関連ニュース

編集者のオススメ記事

野球最新ニュース

もっとみる

    スコア速報

    主要ニュース

    ランキング(野球)

    話題の写真ランキング

    写真

    デイリーおすすめアイテム

    リアルタイムランキング

    注目トピックス