グラブって、どうやってできる?職人と選手が試行錯誤…阪神・大山らの場合

網の部分をタータンウェブに変更した大山のグラブ(ミズノ社提供)
高山は自分でグラブを仕上げていく(ミズノ社提供)
糸原のグラブは親指部分の厚みが特徴(ミズノ社提供)
3枚

 野球選手にとって欠かせない商売道具の一つが「グラブ」。多くのプロ野球選手が愛用し、阪神でも大山悠輔内野手(26)、糸原健斗内野手(28)、高山俊外野手(27)が愛用するミズノ社に“潜入”。グラブの特徴やこだわりについて、ミズノテクニクス株式会社 波賀工場のグラブマイスター・岸本氏、伊藤氏にオンラインで話を聞いた。

 野球選手にとって、グラブは手の一部であり、欠かせない道具。同じポジションの選手で、5人いたら5人とも違うといわれているほど、それぞれこだわりを持ち、求めているモノも違う。納得の逸品を手にするために、職人と対話を重ねながら理想のグラブを作り上げている。

 「大山選手は内野でいろんなグラブを試して探求心がすごいです。サイズから革の質、形といろんなことまでこだわって、最終的にこれでゲーム用にするというのを突き詰めていく選手です」

 主将のこだわりを明かすのはグラブを担当する伊藤則史さん。昨シーズン使用したグラブは19年に製作したモノだった。なぜ、その年の新しいグラブを使わなかったのか。実は1年間かけて慣らしていき、試合で使えるまでに調整するという。

 大山のグラブは1シーズンで3から5個を用意。その中で、いろいろ試して1、2個を試合用にまわす。守備力アップへ、今年は昨年とはグラブの網部分をクロス系から全てを覆ってしまうタータンウェブに変更した。

 その意図について伊藤氏は「強い打球であったり、捕球、送球動作の処理の時に本人が感じる部分で。クロス系よりも全てを覆うウェブの方が安心感があるのかなということで」と説明。形や大きさは変更せず、これまでの経験からより守備力を高めるために改良をお願いしていた。

 同じく、担当する高山も強いこだわりを持っている。「本来は型付けをし、完成させて送るんですけど、高山さんは自分でグラブを仕上げて調整をされる。大山さんならすぐに試合で使えるようにまで仕上げていきますが、高山さんは6割くらいです」と伊藤さん。練習で使用しながら、自らの手に馴染(なじ)ませていっている。

 製作工程で気を付けるのは、ポケットを広めにし、深くなり過ぎないこと。その後、指の向きなどは高山が実際に使って形を整えていく。「グラブの置き方や手入れにもすごくこだわる選手なので、非常にグラブが好きなんだなというのを感じますね」。相棒を大切にする姿には、作り手も目を見張るほどだ。

 糸原を担当するのは岸本耕作さん。二塁手用としては、少しサイズが大きく、親指部分の厚みが特徴。通常は2枚の革を縫製し、親指部分を作るが、糸原のグラブは1枚少なく作られている。また、革質に関しても、ボールが止まるイメージを要望されるようで「ポケットが深いモデルなので。しっかり握ってという感じです」と捕球を重要視した仕様となっている。

 多くの人を魅了する好プレー。それは、職人と選手が試行錯誤し、作り上げたグラブから生まれている。

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