尽誠学園・仲村 背中を追い続けた父へ最高の勝利をプレゼント

 「高校野球交流試合、尽誠学園8-1智弁和歌山」(17日、甲子園球場)

 誰も手を差し伸べてくれなかったら、生きていなかったんだ。

 尽誠学園の仲村光陽内野手は父・耕三さん(45)から、そう言われて育ってきた。

 生を受けた瞬間、産声はなく、息もしていなかった。仮死状態。「1分間ぐらいだったと思うが、何が起きているのかわからなかった」。分べん室の外にいた耕三さんは、ぼう然と見つめていた。

 「一回、死んでるんだよ」と、今では冗談交じりで話せるが、重篤な場合は脳に後遺症が残り、命の危険性もあった。「周りの人に助けてもらって生きている、そういう思いを持って生き続けなさい」。父の言葉を胸に、感謝の気持ちを忘れたことはない。

 「父を超えるため」尽誠学園を選んだ。OBの耕三さんは91年春、92年夏と甲子園に出場し、夏は5試合全てで安打を放ち、4強進出に貢献。センバツも夏もなくなり、目標に挑むことすらできなかったが、同じ場所に確かな足跡を残した。

 先制された直後の一回裏、右翼線を破る同点二塁打を放った。「普段なら切れている。野球の神様が見てくれていたのかな」。努力以上の力が発揮される“魔力”を強く実感した。

 6歳ごろから父と観戦に訪れていた甲子園。ある年「ここでプレーする!」と宣言したという。「全然覚えていません」と笑った仲村。有言実行とともに、背中を追い続けた父へ、最高の勝利を贈った。

 ◆仲村 光陽(なかむら・こうよう)2002年9月11日生まれ、17歳。愛知県出身、178センチ、75キロ、右投右打。小1で野球を始め、北山スポーツ少年団から、中学では名古屋アスリートクラブヤング(硬式)に所属し、投手、捕手、内野手として活躍。投手としても最速は140キロに届く。

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