ロッテ ドラ2酒居、プロ初勝利がスルり…初先発で8回1失点
「楽天3-2ロッテ」(4日、Koboパーク宮城)
雨に煙る杜の都・コボパークのスコアボード。土壇場の九回裏、「1」が刻み込まれた。
一塁ベンチに座っていたロッテのドラフト2位新人・酒居は表情を崩さずにじっと眺めた。プロ初先発プロ初白星が消えた瞬間だった。
八回を100球で1失点。三回、茂木に13号ソロ弾を浴びたものの、「ファームでやってきたことが出せました。ストレートを中心に低めに投げることができた」と振り返ったように、満を持して迎えた初先発のマウンドで躍動した。
だが、八回2死後、代打・枡田の一塁線へのゴロ(内野安打)を処理しようとした際、右足が「つり気味」なのを感じた。続く茂木は投ゴロに仕留めたが、ベンチの判断に任せての降板となった。
ゲームは思わぬ方向へ展開した。
九回、マウンドに上がった内がいきなり先頭の銀次に中前打される。島内が送って一死二塁。ウィーラーを敬遠して一、二塁と局面は動いた。
アマダーとの勝負となったが、四球を与えて満塁。ここで聖沢の中犠飛が飛び出して同点となった。
この「1」がすぐ「2」に変わる。途中出場していた続く阿部が右翼手の頭上へサヨナラ打を運んだ。(楽天の)三塁ベンチはお祭り騒ぎとなり、一塁ベンチは重苦しい雰囲気が漂った。
伊東監督は、「(酒居は)ボールが低めに集まっていたし、変化球もよかった。これだけの投球をしたのだから勝ちを付けてやりたかった…」と話し、こう続けた。
「次につながる投球をしてくれたので楽しみだ」
145キロ前後の速球にスライダー、カーブといった変化球も切れた。奪三振数は「8」で、被安打「3」で、与四球「1」だった。
マウンドで落ち着き払っていた。四回無死一塁ではアマダーの打ち気を読んで初球、118キロのカーブで三ゴロ併殺打に切って落とした。
課題としていた立ち上がりも無難にこなした。
だが、反省点は三回2死から茂木に浴びた1発。茂木には5月9日に7号ソロを喫している。「ホームランは変化球。制球力をもっと磨いていかなくては…」
試合前、伊東監督は酒居についてこう話していた。
「先発として期待していた。(初先発は)遅いくらい。(評価する点は)度胸がいいよね」
即戦力右腕として入団。中継ぎを10試合経験し、またファームでも努力を重ねてきた。
「こうしてゲームを作ることを継続するのが大事。そうすれば勝てると思います、また1週間、しっかりとやっていきます」
焦る必要はない。初勝利の日は近い。