「ロッテ１－４楽天」（９日、ＺＯＺＯマリンスタジアム）

　降りしきる雨の中、「楽天・岸」の第一歩を刻んだ。ぬかるむマウンドに負けず、６回１失点で移籍後初星。水もしたたるイイ男が、球団史上初の開幕３カード連続勝ち越しを導いた。

　「だいぶ緊張しましたけど、初回に２点を取ってもらって落ち着きました」。悪天候でも集中力を切らさない。緩急を自在に操り、連打も許さない。得意のロッテ打線を新天地でも平然と片付けた。

　試合前、やまない雨を見つめ「流れないでくれ」と祈った。インフルエンザ感染で、開幕投手を回避した右腕。早く投げたい－。はやる気持ちを抑えられなかった。

　一回には２番・角中にチェンジアップを投じた際、自らの人さし指の爪で親指の付け根が擦り切れ出血。ユニホームのズボンには血痕があった。「彼がどれだけ力が入っていたか、見て取れるでしょう」と与田投手コーチ。寡黙な右腕の闘志が表れていた。

　欠けていたピースがそろった。２位オリックスとは２ゲーム差。岸の存在が勢いづくチームにさらなる弾みを与える。