平松氏が殿堂入り「思わず涙が出るほどうれしかった」 シュート習得は「奇跡」

 野球殿堂博物館の表彰委員会は16日、今年の野球殿堂入りを発表した。競技者表彰のエキスパート表彰では監督で中日、阪神、楽天をリーグ優勝に導いた星野仙一氏(69)=現楽天球団副会長=と「カミソリシュート」で通算201勝を挙げた平松政次氏(69)が選ばれた。

 毎年候補に挙がり、殿堂入りを逃してきた。諦めかけた時に朗報が届き、平松氏は「思わず涙が出るほどうれしかった」と表情を崩した。

 通算201勝を挙げる原動力となった「カミソリシュート」をものにしたきっかけを回顧し「奇跡」と笑った。プロ3年目のキャンプで先輩に「こんな球しか投げられないのか」と言われ、社会人時代に教わったシュートを投げてみると、鋭く曲がったという。

 「巨人キラー」と呼ばれたが、少年時代は巨人、特に長嶋茂雄氏が大好きだった。喜びを語るうちに憧れの存在への思いが自然と出た。「『平松ってすごかった』という思いを(長嶋氏に)残してもらいたかった。(対戦は)人が変わるぐらい集中した」。気持ちの高ぶりで巨人戦の登板3日前から寝付きが悪かったと述懐した。

 同時に殿堂入りを果たした星野氏は同じ岡山県出身で1学年上。高校時代から対戦を繰り返した。「気迫を教えられた。切磋琢磨(せっさたくま)してきた」と縁を感じていた。

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