高橋純平ついに“投場”で県岐阜商4強
「高校野球・岐阜大会準々決勝、県岐阜商5-3中京」(21日、長良川)
岐阜大会では、春夏連続出場を目指す県岐阜商が第1シードの中京を逆転で下し、4強一番乗りを決めた。阪神が今秋ドラフトの1位最有力候補に挙げる高橋純平投手(3年)が、左太もも裏肉離れの故障を押してリリーフで今夏初マウンドを踏み、1回2/3を無失点。まだ50%の状態ながら最速144キロを計測し、ネット裏に集まった11球団23人のスカウトをうならせた。
長良川のスタンドに自然と拍手が沸き起こった。驚異的な復活を遂げた“スター”の帰還をファンは待っていた。大会直前に左太もも裏を肉離れし、今夏初めてマウンドに上がった高橋。万全の状態にはほど遠い。それでも「最後の夏なんでそんなこと言ってられません!」とエースは奮い立った。
高橋の名前がコールされたのは2点リードの七回だった。先頭に対していきなり3ボールにしたが、きっちりと修正して三ゴロに仕留めた。続く平の5球目には最速となる144キロを計測。直後に108キロのスローカーブで泳がせ二ゴロに仕留めると、手塚は外角低めの直球で空振り三振に仕留めた。
痛めている左足に体重を乗せきれず、突っ立ったような投球フォーム。「状態は万全の時と比べて50%くらい」と語ったように、続く八回は「欲を出しすぎてコーナーを狙いすぎた」と2死からフォームのバランスを崩し、連打を浴びた。左打者の4番・今井を迎えたところで予定通り、左腕の村居とスイッチしたが「やっとマウンドに上がれた。第1歩を踏み出せました」と喜びをかみしめる。
痛めた左太もも裏は全治3週間の診断以上に、筋肉の損傷状態はひどかった。それでも高橋は準々決勝でぶつかる中京戦を目指し、あきらめなかった。
名医を探し回るうちに見つけたのが昨年、開幕第3戦のアクシデントで再起不能の危機に陥った阪神・西岡を復活させた岐阜県内の治療院。複数回にわたって通い、50%でも投げられる体に戻してきた。
1回戦の本巣松陽戦後には小川監督と中京を偵察するため土岐市へとすぐさま移動。「この試合に投げられるように」と懸命の努力を続けたエースの努力にチームも応えた。聖地まであと2勝。次戦もリリーフ待機だが「目の前の1試合を全力で」と語る高橋の表情に、もう曇りはない。