バレ6戦ぶり53号!“読み”戻った
「中日1‐5ヤクルト」(8日、ナゴド)
燕党が集った左翼席へ、待望の1発を突き刺した。ヤクルト・バレンティンが、王貞治(巨人)らが持つシーズン最多55本塁打まで、あと2本に迫る53号ソロ。8月30日のDeNA戦(神宮)から6試合ぶりのアーチだった。
「ヒサシブリ。キモチイイネ」。六回。山井が投じた4球目の高めスライダーをファウルしたバレンティンに、ある読みが働いた。「打ち損じてしまったが、2球続けて来るかなと思い、狙っていました」。5球目、同じ浮いたスライダーを完璧に仕留めた。今季はバッテリーの配球への読みが磨かれ、それが本塁打量産の要因となっているバレ砲。その“読み”が冴えたことが、何より復調の証拠だった。
約1週間のブランクも、この男にとっては長いトンネルだった。8月は月間新記録の18本塁打を量産したが、月が変わってから急ブレーキ。歩かされ、内角攻めに遭ううちに、ボール球に手を出し、本来の打撃を崩していた。
「大きいのを狙って大振りになっていた。打ち損じが多くて、これじゃいけない、基本に戻そうと思った」。四回の第2打席、本来のコンパクトなスイングで左前適時打。「自信になった」。これできっかけをつかむと、次打席ですぐさま結果を出した。
悩める主砲に「我慢、我慢だよ」と絶えず諭してきた小川監督も、「これで気分良く神宮に帰れるんじゃないかな」と復調を認めた。主砲の予言どおり10日からの神宮6連戦で、金字塔に到達する可能性が高まってきた。