阪神・近本“得点圏の鬼”驚異の打率・500 六回適時内野安打で36の18

 「ヤクルト5-6阪神」(24日、神宮球場)

 得点圏で打席に立つ阪神・近本光司外野手(28)からは、静かな殺気が漂う。盛り上がる雰囲気を気にとめることもない無表情。侍のごとく剣を振りかざし、快足を飛ばした。

 「良い当たりではなかったですが、タイムリーになってくれてよかったです」

 2-2の同点で迎えた六回2死二、三塁。山本のツーシームを捉え、二遊間に弾むゴロを放った。グングン加速し、勝ち越しの二塁適時内野安打となる。さらに、二塁・山田が一塁へ悪送球し、一気に2者が生還した。「結果的にヒットになったので、それで2点も入ってよかったです」と笑みをこぼした。

 18日・中日戦(バンテリン)以来、5試合ぶりとなる適時打。今季、得点圏では36打数18安打、打率・500でリーグトップ。42試合目にしても勢いは収まらず、“得点圏の鬼”と化し続けている。

 1番にクラッチヒッターが座ることで、相手に与える重圧は桁違いだ。六回2死から8番・木浪の左前打が起点となった好機を近本がものにした。相手にとって走者を置いた場面で今一番迎えたくない打者が近本。その印象があるだけで相手投手の下位打線に対する勝負の重みが増す。

 三回2死は吉村の高め直球を中前にはじき返してマルチ安打を記録。打率・321と得点圏だけでなく、トータルの数字も高水準をキープしている。

 この日発表された球宴のファン投票中間発表では、外野手部門で5万5596票を集めて両リーグ合わせての最多得票を獲得。前日までトップだったオリックス・森を抜いた。

 球界トップ外野手の称号にふさわしい活躍を続ける背番号5。“得点圏の鬼”が1番に座る限り、猛虎打線の勢いは止まらない。

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