阪神・近本 日々のドリルこなし目指すは“無我の境地” 植松トレーナーが明かす秘訣
「阪神3-2広島」(6日、甲子園球場)
阪神の近本光司外野手(27)が、四回2死から30試合連続安打となる中前打を放ち、マートンが持つ球団記録に並んだ。チームの今季広島戦初勝利を導く一打で、新人年から4年連続となる100安打も記録。偉業達成にも、ここで満足することなく、さらに安打を積み重ねていく。
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大学時代から近本の“師匠”として打撃指導を続ける「MTX ACADEMY」所属の植松弘樹トレーナー(27)が、虎のヒットメーカーの極意を明かした。近本のパフォーマンスを支えるのは、1つ下の後輩との“打撃会議”。綿密に練られたその作戦に、連続安打記録更新の秘訣が隠されていた。
植松トレーナーと近本は、パソコン越しで言葉を交わし合う。ビジター試合後に定期的に開催されるズームを使用した“打撃会議”。プロ入り後から欠かさず行われており、近本の打撃の神髄となっている。試合での打撃の振り返りから、指導のアプローチをかけていく同トレーナー。「本当にありがたいです」と、分析する資料には虎党からSNSを通して送られてきた写真や動画を使用することも多いという。
突き詰めるのは近本が「記憶にない」と話す、足を上げてからミートするまでのシーンだ。同トレーナーが「覚えてない瞬間をあえて振り返って、言語化する」と話すように、写真や動画を使い、トップの位置、バットのヘッドの位置をシーンごとに確認。スイング動作から出てくる欠点をあぶり出すという。
目指すのは、無意識化で理想のスイングを再現すること。近本は試合前練習の際に、会議で決めたドリルをこなして理想の動きを作る。バント練習では一塁側にプッシュ気味に転がし、体をツイストする動きを染み込ませる。ティー打撃では、ティーネット内にあえて入れずに打つことで自らのスイングを確認。さまざまなドリルを行い、打席に立った際には一切フォームのことを考えなくていい状態に仕上げていく。
“無我の境地”を切り開くために、日々ドリルに取り組む近本。同トレーナーは最近の打撃を「侍」と比喩した。「一瞬の間合いを斬る感じがあります」。ドリルをこなしたことによる体の動きも考慮し、手首の角度までイメージした上で構えに入る。職人のように綿密に作り上げた打撃でHランプをともし続けている。
フォーカスするのはあくまでも自分の動き。球種、球速、コースなどの投球要素に合わせたスイングはせず、「タイミングよく振る」が現在の最大のテーマだ。29試合連続安打をマークした3日・中日戦(バンテリン)では、その試合まで今季対戦打率・166だった柳が先発。1、2打席目は、相性の悪さが頭をよぎって凡退した。ただ、その苦手意識自体が不要。「タイミングの合わせ方が違う形になっていた」と、いつもの「タイミングよく振る」ことだけの思考に戻し、3打席目で右前打を放った。
「自分のタイミングで振って記録が止まったとしても本人は何も思わない気がします。記録のプレッシャーなども全く感じないです」と同トレーナー。外的要因を排除し、自らに集中し続ける思考が偉業達成の秘訣(ひけつ)となっていた。
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