【中田良弘氏の眼】ベンチが動かないと。ただ打たせるだけでは

 「阪神0-1広島」(10日、甲子園球場)

 阪神が完封負けを喫し、両リーグ最速の借金11。今季広島戦は1分けをはさみ5連敗となった。デイリースポーツ評論家の中田良弘氏(63)は、初回無死1塁での中野の併殺打が分岐点となったと指摘。「ベンチがサインを出してあげること」の必要性を説いた。

  ◇  ◇

 完封負けの要因として、広島・遠藤を乗せてしまった場面が初回にあった。近本が中前打で出塁したが、続く中野は遊ゴロ併殺打。この結果を投手心理からひもとくと、非常に大きかったと思う。

 遠藤からすれば、足の速い近本が一塁走者で打席には中野。まず併殺は奪えないと考える。スチール、ヒットエンドラン、バントなどさまざまな戦術が考えられる中で、「ベストは1死一塁」として対処に当たったと思う。

 それが一気に2死走者なし。昨年まで制球に不安を抱えていた右腕からすれば、一気に心理的優位に立ち、勢いに乗っていける状況が整った。一方、阪神はカウント2-1となった状況など、仕掛けるタイミングはあったはず。ここで動かなければ、相手に考えさせることはできないし、何のプレッシャーも与えることができない。

 今、チームは負けが込んでいる状況。選手心理としては積極的にいきづらいところだろう。そこでベンチがサインを出してあげることで積極性が生まれる。同時に敵に嫌がられ、相手ベンチに考えさせることもできる。

 また五回に1死一塁から小幡に強攻させたが、例えば犠打で2死二塁とすれば、坂本勝負か、敬遠でガンケル勝負かと相手も考える。選手任せで打たせるだけでは、現状を打破するのは難しいのではないかと思う。

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