阪神 昨季ワースト「ゲッツー」獲得数トップに 背景に2つの“合言葉”

 独自の視点から分析する「虎目線」-。昨季、最下位に低迷した阪神が、貯金1、3位タイで首位・巨人を3ゲーム差で追っている。要因の一つとして挙がるのは、格段に併殺獲得数がアップしたことだ。昨季はリーグワーストだったが今季は39試合を戦い、リーグトップの46併殺。年間168個のペースで、昨季トップだった広島の128個を上回る。背景には2つの“合言葉”があった。

 野球というスポーツにおいて、頻繁に用いられる言葉に「流れ」がある。攻撃なら先取点や、スキを突く攻撃での得点。守備ならファインプレーなどが、流れを呼ぶ1シーンになり得るだろうか。そんな中で攻守に流れを呼ぶ、流れを失うと言われているのが「ゲッツー」だ。

 チームはここまで39試合を戦い、貯金1の3位タイ。昨季の最下位からすれば躍進と言える。チーム防御率はリーグ3位、打率は同4位。本塁打数は同ワーストタイだが、それでもAクラスに位置する。そんな背景に、“流れを変えるプレー”の貢献がある。興味深いデータが存在した。

 今季、奪った46併殺はリーグトップで2位の巨人(37個)を大きく引き離す。これは年間168ペースで昨季トップだった広島の128をはるかに上回る。当然、投手のタイプもあるが、最大の要因はバッテリーの意識改革。藤井コーチが合言葉を明かした。

 「めちゃくちゃ意識していますね。特に梅野には『ヒットを打たれるならゴロで打たれよう』、『点を取られるならヒット3本、4本で取られようや』と話をしています」

 160キロ超の速球でも、バットに当たる時代。有効なのはカットボール、ツーシームなどの速い変化、バットの芯を外すボールだ。青柳は「自信になった」と、4月23日のDeNA戦(横浜)を振り返る。初回、1死一塁からロペスを遊ゴロ併殺に抑えると、四回は無死一塁からソトを遊ゴロ併殺に斬るなど、1試合4併殺で今季初勝利。併殺を奪った直後に2度、得点するなど攻撃にもリズムを生んだ。

 また、もう一つの要因として青柳や岩田、藤井コーチが「野手のおかげ」と口をそろえる。主に二遊間を守る糸原、木浪に、三塁の大山と、内野をほぼ固定できたことによって、守備にもリズムが生まれた。藤本内野守備走塁コーチは「当たり前のことを、当たり前にやろう」と呼び掛けている。左の足が速い打者で、一塁到達スピードは3秒台後半。右打者で4秒台前半だ。

 「悠輔(大山)にしても、すぐに投げたがるクセがあった。打球判断や、打者に応じても違う。常に意識を置いて、取れる併殺を、しっかり取ろうと。経験を積んできたことで体内時計として対応できているのもある」

 “2つの合言葉”の背景にある、意識の徹底。藤本コーチが、しみじみと語った。「やっぱり大事なのはキャッチボールだということ。基本の大切さを感じますよね」。ゴロを打たせるため、低めに投げる投手の制球。状況に応じたスピードでボールを回す野手の送球。原点となる基本の徹底が、チームの躍進を支えている。

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