新井、10年目の護摩行で「快打炎心」

 阪神・新井貴浩内野手(36)が13日、鹿児島市の烏帽子山最福寺で10年連続10度目の護摩行に挑んだ。くべられた護摩木は過去最多の3000本。1時間40分に及ぶ荒行を終えた新井は「死ぬかと思った…」。同寺の池口恵観法主(77)から「長嶋茂雄氏の座右の銘をもじった「快打炎心(かいだえんしん)」という言葉を授けられた。

 袈裟(けさ)に一瞬炎が燃え移った。荒行開始から1時間20分。護摩炉から最も近い座席、「左の3番」で400度を超える火柱と向き合う新井のあごが上がった。90畳の本堂に白煙の逃げ道はない。読経が絶叫に変わった。焼けつきそうな喉が悲鳴を上げる。秒間隔でくべられた護摩木は過去最多、3000本を超えた。

 「死ぬかと思った…」。1時間40分に及ぶ過酷な鍛錬のあと、10年目で初めてそう漏らした。汗だくの顔面は真っ赤に腫れ上がり、目はうつろ。「何度やっても慣れない。全身しびれていた。毎年、だんだん厳しくなっているような気がする」と、参拝者の目をはばからず、本堂の片隅でへたりこんだ。

 金本知憲の背中を追い、04年オフに初めて最福寺の門をたたいた。「レギュラーになりたい」。その一心で難行に挑み、05年シーズンにいきなり本塁打王を獲得。あれから10年。節目の修行を「もう一度、初心に帰る。原点に帰る。そういうつもりでやりました」と、途切れる呼吸を整えるように振り返った。

 護摩行師匠の池口恵観法主は新井の本業を憂い、初めて野球に直結する四字を授けた。

 「快打炎心」。長嶋茂雄氏の座右の銘として知られる「快打洗心」をもじった激励は、文字通り「心を燃やして、打席に入れ」という意味が込められる。昨季は打率・267、15本塁打、70打点。得点圏打率(・302)こそチームトップだったが、池口法主は「肝心なときに打てない。精神面も弱くなっていた。打席に入るとき、ふっと気が抜けるときがある」と指摘。まな弟子をたしなめるため、すべての護摩木を水で湿らせることによって、容赦なく炎の強度を上げていたという。

 「今回は死にそうだったと思う。よく耐えた」。2泊3日の初日を終え、法主からねぎらいを受けた。「過去は過去。今年は前だけを見てやりたい」。定位置を確約されない14年シーズンの戦い。新井の心に死にものぐるいの炎がともった。

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