山中V11「残酷」過ぎる神の左  再戦文句なし TKO勝ちで完全決着

 「ボクシング・WBC世界バンタム級タイトルマッチ」(16日、エディオンアリーナ大阪)

 バンタム級は王者の山中慎介(33)=帝拳=が、同級1位のアンセルモ・モレノ(パナマ)に7回1分9秒でTKO勝ちし、日本歴代2位に並ぶ11度目の防衛に成功した。“神の左”と称される強打で、最強の挑戦者モレノを4度倒した。

 “神の左”で完全決着をつけた。7回、狙い澄ました左ストレートでモレノの顎を打ち抜いた。何とか立ち上がった難敵を逃さない。コーナーに詰めて左を浴びせるとレフェリーが試合を止めた。

 「試合の途中で左の当て方のコツをつかんだ。ああいう相手には対応力や発想力が必要になってくる。モレノがあんなにきれいに倒れるのを見ると、残酷なようですけど気持ちが良かった」と、会心の表情で振り返った。

 前回から一転、打ち合いとなった。1回に左をもらってぐらついた山中だが、終盤に左フックでダウンを奪う。だが、4回にカウンターの右フックで倒され、6回には左で倒し返す波乱の展開。「ダウンをもらってなんですが、後に引きずらなかった。距離も去年よりだいぶ近かった」と、冷静だった。前回より距離が詰まり、一撃を狙う山中には有利だった。

 今回、モレノ対策として前回届かなかった「3センチ」の克服を考えていた。ここぞ、と打ち込むパンチがわずかに届かなかった記憶を胸に、練習前後に10キロのダンベル、チューブを使い肩と背中の柔軟性を高め、可動域を広げた。そうして3センチ向こうに届くパンチを可能にし、モレノを4回リングにはわせた。

 会心の勝利に、本田明彦会長は「モレノが前に出て来たので前回と全く違う展開になった。ボクシングの奥深さを見せてくれた。山中の場合、防衛回数(日本記録)は関係ないし、対戦相手もなかなかアメリカにいない。いい対戦相手が欲しいね」と、早くもV12に思いをはせた。

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