王者・細川がドローで初防衛 3日前に39度発熱を猛省

 「ボクシング・東洋太平洋スーパーウエルター級王座戦12回戦」(31日、住吉区民センター)

 王者・細川貴之(31)=六島=が同級2位の挑戦者・斉藤幸伸丸(37)=輪島功一スポーツ=を相手に2度のダウン2を喫しながら、判定ドローに持ち込み初防衛を果たした。戦績は28勝(9KO)10敗5分け。

 斉藤は東洋太平洋、日本王座を合わせ、今回が6度目の挑戦だったがまたも届かず。戦績は23勝(13KO)8敗2分け。

 細川は14年に悲願の日本王座を獲得したが、右目網膜裂孔のため返上。昨年11月に東洋太平洋王座を奪い、2冠に輝いたが、この試合でアゴを骨折し、長期離脱。9カ月ぶりの復帰戦は明らかに動きが固かった。

 持ち前のトリッキーな動きで相手を翻ろうするも、2回、踏み込んだところに右フックを合わされ、ダウン。中盤以降、何とか盛り返したが8回、今度は左フックを合わされ、膝を付いた。

 8回を終わり途中採点は3人のジャッジともに74-76とリードされた。崖っぷちで「倒さな勝たれへん」と尻に火。左右フックを全弾フルスイングでぶちかまし絶叫して斉藤をロープに追い詰めた。

 王者の気迫に会場も熱狂。後押しされるように、終盤にポイントを重ねた。ジャッジ2人が113-113のドローとし、泥臭くベルトを死守した。

 3日前に39度の発熱。「スタミナが全然持たなかった。走れなかったから足が動かなかった。アスリートとしてやってはいけないことをした。情けない」と試合後は猛省した。

 二人三脚で歩んできた枝川孝会長との信頼関係が崩れた中での試合だった。ジム頭としての役割を果たさず、指示された仕事をすっぽかして知らんぷり。そんな態度に会長も激怒し、「人間として許せない。もう知らん」と1度は見放した。

 1カ月前、丸刈りにして全面的に謝罪。許されたわけではないものの、試合のために再タッグ。当然、コミュニケーションはなく、練習で綿密な作戦は立てられなかった。「会長に怒られて、まともに自分を見てもらえなかったことが苦しい試合につながった」と改めて師の存在の大きさが浮き彫りになった。

 枝川会長は「2回倒されて、ドローに持ち込んで防衛したのは大したもの。お客さんも盛り上がったし、細川史上最高の試合ができたんじゃないの。人間・細川を許したわけではないけど、ボクサー細川としては一皮むけた試合」と、一定の評価を与えた。

 ここ3年間、負けなし。IBF世界同級3位にランクし、狙うは夢の世界挑戦だ。「実力不足で世界なんて言ってられないけど、一からやり直して世界と言えるようにやっていきたい」。六島ジムのエースがしぶとく生き残った。

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