一翔、進化の再起星 3階級V再挑戦へ

 「ボクシング10回戦」(16日、後楽園ホール)

 ボクシングの元世界2階級王者で、WBA世界フライ級5位の井岡一翔(25)=井岡=がノンタイトル10回戦に臨み、同級14位のパブロ・カリージョ(26)=コロンビア=を3‐0の判定で下し、大みそかに予定する世界3階級制覇再挑戦へ、再起戦を飾った。元WBA世界ミニマム級王者の宮崎亮(26)=井岡=も、50キロ契約での再起戦8回戦で、インドネシア国内ライトフライ級4位のイカル・トビダ(30)=インドネシア=を5回KOで下し、大みそかの世界2階級挑戦につなげた。

 最後は足を止めての壮絶な打ち合いだった。一翔の左ボディー連打に相手はもん絶し、それでも打ち返してきた。怒とうの攻めは一歩及ばず、10回終了のゴングは鳴った。あえて選んだ難敵の世界ランカーに判定3‐0の完勝。「倒したかった」と悔しがったが、見事な復活劇だった。

 「東京の皆さん、ただいま。もう1回、ここからストーリーを作る。世界王者に返り咲く」と、東農大時代の聖地で声援に応えた。

 天才が初めて味わう挫折を乗り越えた。5月、IBF世界フライ級王者、アムナト・ルエンロン(タイ)にプロ初黒星を喫した。「崩れた。自信をなくした」と、積み上げてきたすべてに疑心暗鬼になった。

 道を戻したのは、やはりボクシング。ジムに数十巻ある元5階級王者、シュガー・レイ・レナード(米国)らの世界の名勝負映像を、父でトレーナーの一法会長と毎日、穴が空くほど見続けた。「考えて悩んだ」と一翔。父子は映像をヒントに「足とスピード強化」に答えを見つけた。

 この日、フットワークで何度も相手のパンチを空振りさせた。終盤は縦横無尽にリングを舞い、四方からパンチを打ち込んだ。「ニュー一翔」の実戦テストには「まだ半分。攻勢からの足、コンビネーションが課題」と自己採点は厳しい。「熱くなった。勝ったことが次につながる」と、気迫で押し切ったことを収穫とした。

 大みそかに予定する3階級制覇への再挑戦はアムナトも有力な標的の1人だ。「もらわずに打つ。そこをもう1回やらないと」と、宿敵との雪辱戦も視野にさらなる進化を狙う。

 八重樫を粉砕したWBC王者、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に関しては「いつかはやる相手」と父子は口をそろえる。「フライ級で自分が中心になる」と言う一翔。激戦フライ級覇権争いへ、堂々と加わった。

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