【野球】なぜ阪神・近本の三振数が増えているのか 自ら語るその理由「目付けのタイミングのズレ」

 阪神・近本光司外野手(29)の三振数が増えている。21試合を終えて14三振(4月22日時点)と、21試合で9三振だった昨年に比べると増加は顕著に表れている。近本がその理由の一端を語った。

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 18日・巨人戦(甲子園)の九回2死一塁で打席に入った近本だったが、カウント2-2からの7球目、バルドナードの外角スライダーにバットが空を切った。21試合を終えて14三振。内訳は空振りが12、見逃しが2となっている。昨年は4月終了時点(24試合)で9三振(空振り5、見逃し4)だったが、既にその数字を上回っている。まだ開幕直後とはいえ、気になる数字ではある。

 三振、しかも空振り三振が多いことは近本も自覚している。「今年はストライクゾーンの空振りが多い」と苦笑いする。ストライクゾーンの球を振りにいっていること自体は「(状態が)悪いということではない」と話す。その一方で、ストライクゾーンの球を捉え損なっているという事実もある。「そこに(感覚の)ズレがあるというのは認識しておかないといけない」と現状を分析した。

 「ズレ」というのは「自分のタイミングと目付けのタイミングのズレ」だと説明する。それがストライクゾーンの球を空振りしてしまう一因でもあるという。

 「目付け」とは、近本によると「ボールがこの辺りのコースに来るだろうという意識」のこと。近本は一昨季まで、投手がボールを離してから自分の打撃ポイントまで投手側から見て3分の1くらい前で打つ、打たないの判断をしていた。昨季はさらに投手側、4分の1ほどで判断するようになり、ストライクとボールの判断が向上したと語っていた。

 近本自身も「昨年は目付けが良かったが、今年はあまり良くない」と感じている。「目付け」を修正していくことは可能だが「それをしたら、今やりたいことができなくなってしまう。(やりたいことに対する)意識が弱まってしまう。今はそこじゃないところを意識している」と明かした。

 「やりたいこと」というのは「筋肉の出力調整」だという。筋肉を意識したスイングでは力みや焦りで打撃のズレが生じる。だから「骨で打つ」ことを意識するというのが近本の持論。筋肉が生み出すズレを最小限にするため、「自分の使いやすい筋出力、できるだけ同じような筋出力を使っていきたい」と最適の出力状態を探っているのだという。「まだ自分の中の仮説と結果がうまく合わさっていない」と多くを語ることは避けたが、人知れず新たなに取り組みに挑んでいた。

 近本にとって開幕からの約1カ月は、さまざまな情報を集積しながら打撃の方向性を模索する期間となる。今は「筋肉の出力調整」に意識を注力するため、あえて「目付けのズレ」には目をつむっている。少々目立つ三振数は進化の過程の一つと言えるのかもしれない。(デイリースポーツ・山本直弘)

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