【芸能】國村隼が韓国で大フィーバーの理由を探る 映画「コクソン」で圧倒的存在感

 10月に韓国の釜山国際映画祭を取材した時のことだった。現地の通訳さんに「今、韓国で1番人気の日本人俳優って誰だと思います?」と聞かれた。「福山雅治?木村拓哉?」。名前を挙げていったが、どれも違うとの返事。通訳さんは「クニムラジュンさんですよ。クニムラさんの映画でのセリフ『私が悪魔だ』がはやってるんです」。えっ、あの名脇役の國村隼?なぜ?韓国でウケる理由を探った。

 國村は韓国映画「チェイサー」「哀しき獣」で知られるナ・ホンジン監督の新作「哭声/コクソン」(日本では来年3月11日公開)に出演。インパクト大の役柄が現地で大ウケだという。同作は韓国で動員700万人を超える大ヒットを記録。とある村で、村人が家族を残虐に殺す事件が多発し、その元凶として警官の主人公たちが目を付けるのが國村演じる日本から来た“よそ者”だ。

 山奥に住むえたいの知れない存在で、セリフはあまりない上に日本語。表情の演技だけでもベテランの味を見事に堪能させてくれる。登場シーンは、ほぼふんどし一丁で鹿の肉を食らうなど狂気的なキャラを熱演。強烈な存在感が支持され、國村の演技をパロディーにしたバラエティー番組まで誕生したという。映画はホラーテイストだが、振り向いた國村が真っ赤な目を光らせる印象的なシーンがコントのように扱われた。

 釜山映画祭の時も恒例の屋外舞台あいさつに國村が登壇した際、見事な盛況ぶりだった。日本で歴史的快進撃を続けるアニメ映画「君の名は。」の新海誠監督、声優を務めた神木隆之介、上白石萌音のあいさつの2つ前だったが、ファンが多く集まったのは印象としては國村の方だった。

 國村は11月25日、韓国で最も権威ある映画賞「第37回青龍賞」で男優助演賞と人気スター賞をW受賞した。外国人俳優の受賞は史上初の快挙。人気スター賞は現地の大物俳優やアイドルの選出が多く、同時受賞に日本でも知られる女優のペ・ドゥナが並んでいることからも偉業のほどがうかがえる。

 韓国映画へは初出演。ナ・ホンジン監督は「演劇とは異なる映画演技の神髄を見せてくださいました」と絶賛している。どのような神髄なのか詳細は不明だが、青龍賞のスピーチで國村は「私は映画を撮る時、いつも『どのようにしてフレームの中で生きようとするか、存在感を示すか』と考えています」と語っている。

 来年には監督が来日し、國村もイベントなどに参加する見込み。異国の地でフィーバーになった、脇で輝くベテラン俳優の神髄と心境を早く聞きたい。

(デイリースポーツ 古宮正崇)

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