J2岡山で圧倒的存在感放つ岩政&加地

 J2岡山に今季新加入した元日本代表コンビ、DF岩政大樹(33)とMF加地亮(35)の2人が、チームの中で圧倒的な存在感を示している。

 何よりその“頑丈さ”が頼もしい。2人とも開幕から第12節まで全試合スタメン。しかも一度も交代がなく、1080分間フルタイム出場だ。中2日や中3日での試合が続いたGWの連戦も、2人は休まずピッチに立ち続けた。岡山で12試合すべて先発出場しているのは、フィールドプレーヤーでは岩政と加地だけ。「疲れは多少あるけど、試合に出ている方がコンディションを保ちやすい」と加地はサラリと言うが、高いパフォーマンスを維持するのは容易なことではないだろう。2人の姿は若手選手にとって最高のお手本となっているはずだ。

 ともに昨季は海外でプレーした。岩政は鹿島からタイ1部リーグのBECテロ・サーサナに移籍。加地はG大阪から米国MLS(メジャーリーグ・サッカー)のチーバスUSAに移り、サイドバックとして奮闘した。

 異国のリーグで貴重な経験を積んだ2人は、ともに2年ぶりの日本復帰の場所として岡山を選んだ。今年1月の新加入選手会見で岩政は「J1を目指すチームで自分ができる仕事はたくさんあると思う」と語り、加地は「年齢は関係ないことを証明したい」と決意を口にした。岩政は長沢監督から主将にも指名され、その強烈なリーダーシップでチームをけん引している。

 昨季、岡山は春先からJ1昇格プレーオフ進出圏内(6位以内)を維持しながら、終盤の大失速で8位に終わった。勝負所でもろさを露呈した精神面の強化という点でも、岩政と加地にかかる期待は大きい。

 第12節を終えた時点で、岡山は4勝5分け3敗で9位。総失点「8」は首位・金沢の「6」に次ぐ2位タイと、守備は安定している。3バックの中央で体を張る岩政の強さ、そして相手のクロスを次々にはね返す高さがチームに安心感をもたらしているのは間違いない。

 ただ、第9節から4試合は勝利がなく、攻撃面で岡山らしい躍動感が失われているのが現状だ。スコアレスドローに終わった6日の栃木戦後、加地は「(課題は)中盤の構成かな。どういう順でパスを回すのかだったり、周りのサポートだったり。そこを解決しないとチャンスは増えない」と冷静に分析した。

 主将の岩政は、あえて厳しい口調でチームに奮起を促す。「今の岡山の力では、たとえJ1に上がれたとしても対等には勝負できない。選手1人1人がもっと成長しなければ。それしか道はない」。

 今季、岡山は「平均観客動員数1万人」を目標に掲げてスタートを切った。ここまでホーム6試合の平均は1万289人。これはJ2の22クラブ中4位の動員数で、まずは順調な滑り出しと言えそうだ。本拠地・シティライトスタジアムに充満するのはJ1昇格への熱い願い。あふれる期待に包まれながら、2人の元日本代表戦士は体力と技術、そして経験のすべてをピッチに注ぎ込んでいる。(デイリースポーツ・浜村博文)

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