広陵高OBの武蔵平 球界と出世争いだ

 計7年、広島でプロ野球カープを担当した後、昨年12月から大阪で一般スポーツを担当している。先日、初めて大相撲の取材をした際、懐かしい男に再会した。

 武蔵川部屋の武蔵平(23)。本名は森宗順平で、かつて広陵高野球部でカープの12年新人王・野村祐投手(24)とともに甲子園に出場している。

 1学年先輩の野村の2番手投手として07年夏、全国高校野球選手権大会準優勝に輝いた。将来を嘱望された左腕は亜大に進学。だが故障に泣き大学4年時、野球を断念し、全く未知の角界を選んだ。

 角界入りを決めた12年の年末、広島で行われる恒例の広陵高OBパーティーで記者は直撃していた。もちろん武蔵平は覚えていなかったが野球&相撲トークに花が咲いた。

 「思った以上に大変な世界です。野球やってた時は寮で食べられたから」。料理などしたことない男が慣れない包丁で料理し、ちゃんこを作る日々。角界のしきたりにも「怒られっぱなし」と戸惑い続けた1年だった。

 相撲の方も思うようにはいかない。新人イヤーは最高位、序二段まで上がったが、稽古中に左膝靱帯を断裂し10月に手術し、リハビリで昨年は終えた。

 リハビリ中には日本シリーズをテレビで観戦。「マー君はすごい」と久々に野球に酔いしれた。亜大同級生にはソフトバンクの東浜、後輩には広島の久里。「考えてみれば、毎年プロ野球に知り合いが入っている。刺激になる」と負けられない思いを強くする。

 先輩・野村の姿は今でも目に焼き付いている。「普段は優しい先輩がマウンドに上がると別人。勝負勘というか、洞察力というか、すごかった。あの人なら角界に来ても通用するでしょうね」と、道は違うが、勝負師としての手本だ。

 昨年末の広陵パーティーには不参加だった。とても胸を張って、仲間に顔を合わせられなかった。「今年は出たいですね。三段目には上がるのが目標」と上だけを見据える。師匠・武蔵川親方(元横綱武蔵丸)は「まだまだだけど身体能力はいいものを持っている」と素材に期待をかける。球界と角界、出世争いに注目だ。

(デイリースポーツ・荒木 司)

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