阪神投手陣の“ある課題”とは…

 先発投手陣の再建が急務となっている和田阪神。能見、メッセンジャー、藤浪に続くのは誰か。候補に挙がるのが岩田、秋山、二神らだが、もう一つ、改善しなければならないある“課題”がある。

 山口投手コーチは「たしかに四球の数は昨年(2012年)と比べて少なくはなったけど、死球の数も少ない。それはコントロールが良くなったのか、それともインサイドを攻めきれていないのか」と昨年末に語っていた。実際に昨季のデータを見てみると、与四球400はセ・リーグの中で最も少ない。

 そして比例するように与死球33もリーグ最少。リーグトップの防御率が示すように、阪神投手陣のシーズンを通しての実力は他球団から見ても高い。ただシーズン終盤、ここぞの場面で打ち込まれるケースが目立った。9、10月の防御率は全体を通してワースト。夏場に6連戦が続く8月よりも悪化している原因を、単純にスタミナ不足と捉えるのは早計だ。

 実際に山口コーチが語ったように、内角攻めが少ないことで踏み込まれるシーンは多々あった。昨年のクライマックスシリーズ第1戦。先発・藤浪が梵に内角高め直球を投じた。高さはボールゾーンだったがコースは大きく外れていたわけではない。にもかかわらず梵は思わずのけぞり、打席内に倒れ込んだ。それだけ外角に絞り、大きく踏み込んできていたわけだ。

 9月の失速、短期決戦での連敗‐。強固と思われてきた投手陣が打ち込まれてきた背景には、制球力以上にインサイドを使えていなかった現状が横たわる。実際に今キャンプでは、初日から能見がブルペンで右打者の内角オンリーに投げ込む姿が見受けられた。

 「去年は1つもなかったですね。打者が死球はない、と踏み込んでくるのがどうなのか。難しいところですが」と左腕が明かしたように、他の投手陣も積極的に内角を使っていこうという意識が実戦を通して見え始めている。

 もちろん右翼から左翼方向へ強い浜風が吹く甲子園を本拠地とするチーム。右打者の内角は甘くなれば一発の危険性をはらむ反面、外角を攻めておけば大間違いはしない。実際に虎キラーとして名を馳せた巨人・内海も以前は“甲子園仕様”の投球として、東京ドームでは徹底して内角を攻め、甲子園では外角を中心に配球を組み立てていた。

 ただそれでは勝負がかかってきた終盤、そして短期決戦でなかなか勝ち上がれない現実。選手、首脳陣は昨年の反省を生かし、キャンプから課題克服に取り組んでいる。正解でも間違いでもない問いに、明確な答えを見つけることができるか‐。9年ぶりのリーグ制覇へ、大きなキーポイントとなりそうだ。

(デイリースポーツ・重松健三)

編集者のオススメ記事

コラム最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス