J1広島の3連覇へ向けた準備とは
2014年の日本サッカー界が幕を開けた。最初の公式戦となったゼロックス・スーパーカップ。昨季J1の2連覇を達成した広島と、天皇杯王者の横浜Mが対戦し、広島が2‐0で勝利した。J13連覇を狙う広島。その強さは本物だ。
豊富なタレントがそろう横浜Mを圧倒した試合だった。前半6分、野津田のゴールで先制。後半は途中出場した浅野が追加点を挙げた。時間帯によって押し込まれる場面があったものの、内容的に見れば圧倒したと言っていい。多くの記者が「強い」とうなずいてしまうほどだった。
スタメンはボランチに不動の森崎和に代わり新加入した柴崎。2シャドーの位置には、昨年日本代表デビューした高萩ではなく2年目の野津田が入った。さらに試合途中、スタメンだった清水が負傷交代し山岸が急きょピッチに立った。
彼らはレギュラークラスと遜色ない働きをした。質が落ちることはなかった。昨季なら、レギュラークラスの選手が故障したとき、チーム力は低下した。だが、今年は違う。「チーム全体の力の差が、過去2年と比べて埋まった。拮抗している。チームの総合力は上がっている」と森保監督。新加入選手10人が加わり、3分の1のメンバーが昨年と異なる。キャンプで全選手をシャッフル。これまで以上に練習形式の練習を増やすことで、誰が入っても同じようなサッカーができるようになった。広島はさらに強さを増した。
3連覇を狙う今季は昨年同様にACLにも出場する。さらに6月にはブラジルW杯がありハードな日程が待ち受ける。森保監督は「どれだけ勝ち点を拾えて、上位にくらいついていけるか。1点でも多く積み上げていきたい。12年は8敗、去年は9敗した。今年はもう少し負け数を減らしたい」。勝ち点の積み上げに向け、いかに黒星を減らすかをテーマに挙げた。
開幕戦は10年南アフリカW杯で得点王に輝いたFWフォルランが加入したC大阪と対戦する。日本代表FWの柿谷もおり、攻撃陣はリーグ屈指だ。だが、森保監督に悲壮感は全くない。「世界の超一流選手が入ったチームと試合ができる。いい若手もいるし、楽しみ。わくわくする」と目を輝かせた。
毎年、日本代表クラスの選手が移籍する広島だが、フロントがしっかりと補強。現場も若手の育成に抜かりがなく、戦力が落ちることはない。目標は09年鹿島以来2クラブ目の3連覇。広島の準備は万全だ。
(デイリースポーツ・市尻達拡)