マー君が抜けた…則本はエースになれるか

 楽天の新エース候補、則本昂大投手が、今季の開幕投手へ立候補した。昨年はルーキーにして開幕投手という大役を果たし、その試合は敗戦だったが、シーズン15勝でリーグ優勝、日本一に大きく貢献した。目標だった新人王も、ダントツの票数で獲得した。

 今季は注目度抜群の松井裕樹投手、昨年のドラフト1位の森雄大投手と、2人の左腕がキャンプから好アピールを続けている。星野監督はこの2人も開幕投手の候補であるとしている。注目されている選手に、特別な舞台を用意するのが、“演出家”星野仙一であるから当然、それは単なるリップサービスではないと感じている。

 その指揮官が「開幕投手やりたいやつは立候補してこい」と選手の競争心をあおった。その立候補第1号が、則本というわけだ。17日、初の実戦練習であるフリー打撃の打撃投手を務め、若手の有望株、西田と榎本に19球ずつ、ともに安打性は2本と、上々の内容で終えた。その練習後の会見で「立候補します」と宣言した。

 実績と経験でいけば筆頭は則本だが、昨年フル回転した疲れが、取り切れなかったのも事実。先発ローテを守りきり、終盤は中継ぎとしても登板した。その疲労を抜きながら、シーズンへ合わせていく。当然、昨年の今よりも投げ込みの量は減るし、調整のペースも遅れる。

 大エースの田中将大が、昨年、WBCから帰ってきて調整が難しく、開幕投手を回避したように、則本も現段階では務められるかわからない。指揮官が開幕投手を明言しないのは、そういう理由もあるだろう。

 則本を取材していて、まず感じるのは人柄。感受性が豊かで、どんな質問にもはっきりと答える。時に冗談を言ったりして場を和ませたりもする。昨年、シーズンが進んでチームも勝ち始め、活躍している則本の注目度も高まっていった。取材も増える。絶対に疲れている状況で、それでも彼が嫌な顔をする場面は見たことがなかった。

 1月の新人合同自主トレ期間中、松井裕を含めた新人たちに、球団広報が講義を開いた。広報からマスコミ各社の紹介と、取材対応のルール等説明を受けた。そこで模範の選手として紹介されたのが、則本だったという。「1年目で活躍して、たくさん取材を受ける中、彼の受け答えは素晴らしかった。選手としてどうあるべきか。それを今年の新人にも伝えました」と球団広報は明かした。

 連覇を目指す上で、この男の働きがカギを握ることは間違いない。松井裕、森、そして則本。現状では、開幕投手はこの3人の三つどもえの争いになるとみている。そしてそれを勝ち抜いた投手が、楽天の今後を引っ張る存在といっても過言ではない。田中抜けた今、真のエースが誰になるのか、そういう所も注目して見ていただきたいと思う。(デイリースポーツ・橋本雄一)

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