歌舞伎俳優の中村鴈治郎（５６）が１９日、京都・八坂神社で「吉例顔見世興行　東西合同大歌舞伎」（３０日初日、京都・南座）の成功祈願を行った。

　同興行は今年１月の大阪松竹座公演から始まった１年間にわたる襲名披露の締めくくりとなる。長男・壱太郎（２５）とともに奉納舞踊を披露した鴈治郎は「私、京都生まれでございまして、八坂神社の氏子でございます。その八坂さんで成功祈願をさせていただき、大変うれしい幸せ者です」とあいさつ。「歌舞伎という文化を京都にもっともっと根付かせていきたい」と抱負を口にすると、大きな拍手が起こった。

　３０日の開幕を前に２５日には出演俳優の名前を記した看板を掲げる、京都の冬の風物詩である「まねき上げ」が南座で行われる。今回の興行には父の坂田藤十郎（８３）も出演。「『鴈治郎』と『藤十郎』という名前が初めて二つ並ぶわけでございます。私自身もそれを見るのを大変楽しみにしております」と待ちわびる心境を語った。

　成功祈願祭の後は壱太郎とともに人力車に乗って京都市内でお練りを行った。ファンや観光客でにぎわう沿道からは「成駒家っー！」と屋号を叫ぶ掛け声が飛び交い、鴈治郎は手を振りながら笑顔で応えていた。