1年生SH梅川が先制トライ 石見智翠館

前半、先制とトライを決めチームメートに祝福される石見智翠館・梅川(中央)
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 「全国高校ラグビー・1回戦、石見智翠館49-17仙台育英」(28日、花園)

 1回戦11試合が行われた。24年連続出場の石見智翠館(島根)は、仙台育英(宮城)を49-17で制した。

 1回戦屈指の好カードで、いきなり相手に先制パンチを食らわせたのは1年生だった。SH梅川太我が前半3分、ゴール前の右ラックから持ち出し中央に先制トライ。チームに流れをもたらした。「強気で攻めようと思いました。前があいたので思い切って行きました」と胸を張った。

 晴れ姿を見せたかった人はもういない。闘病中だった母・恵美さんが、今年6月に45歳の若さで亡くなった。

 「天国の母にいいプレーを見せようと思いました。(母は)1年生から活躍して、私をテレビに出してと言っていた。花園で見せてあげたかった」

 この日はスタンドで父の聡(あきら)さんが恵美さんの写真を掲げていた。「それを見てうれしくなった」と梅川。実家のある大阪を離れて島根へ進学したが、母はいつも応援に来てくれていた。写真の笑顔はその時のままだった。

 先発が決まったのは前夜。安藤哲治監督は3年生の赤堀とどちらを起用するか悩んだが、「速いテンポで試合をつくる梅川にかけてみよう」とリザーブから抜てきした。「期待に応えてくれた」。読みは的中した。

 163センチ、62キロ。16歳の小柄な体には、人一倍の負けん気がつまっている。この日の朝、緊張をほぐそうと主将のSO忽那鐘太が「太我、大丈夫か?」と声をかけた。すると梅川は「僕から仕掛けますよ」と即答。その通りの結果を出した。

 忽那は「2、3年生にも気後れせずに指示を出す。僕もよくしかられます」と苦笑い。「3年生や出られない人の分も頑張る」という思いを上級生も理解し、後押ししている。

 財布に入れた母の写真は、花園でもバックの中にある。「母が見てくれているのをいつも感じます」。だからこそ、思い切りやれる。母の思い、みんなの思いを背負う聖地だ。

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