智弁学園・上村前監督長男、次男も観戦
「選抜高校野球・決勝、智弁学園2-1高松商」(31日、甲子園球場)
智弁学園の前監督で、2005年12月に多臓器不全のため46歳で死去した上村恭生さんの長男・恭一さん(26)=ダイビング店勤務=と次男・将洋さん(22)=近大4年=は、高校時代の思い出と亡き父の面影を胸に、アルプス席で観戦した。
2人とも同校野球部OBで、小坂将商監督の下で甲子園にも出場。恭一さんは高校1年の時に恭生さんを亡くした。当時は「通夜と葬式では絶対に泣かない」と心に決め、4人兄弟の長男として家族を支えて気丈に振る舞った。
葬儀を済ませ、落ち着いてから学校へ行くと、小坂監督がそっと恭一さんを室内練習場へ呼び出し「お前、ずっと泣いてなかったな。しんどかったな。今ここで泣いてもええぞ」と声をかけたという。
恭一さんは「それで初めて涙が出た。一見こわもてな監督ですが、すごく生徒のことを見てくれている優しい人」と振り返った。
4月1日に神戸市内の企業に就職する将洋さんは「父は選手の時と監督の時にベスト4。僕自身は、後輩たちが父の数字を追い越していくのはうれしい反面、寂しい気もする。でも父は100%喜んでいると思う」と、後輩たちの勇姿に目を細めていた。