広島 マエケン被災地に捧ぐ完封

喪章を左袖に付けて力投する前田(撮影・北村雅宏)
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 「広島6‐0阪神」(22日、マツダ)

 広島・前田が阪神打線を5安打完封。5年連続となる2ケタ勝利を挙げた。

 初回、先頭打者の上本に死球を与える滑り出しとなったが、安定した制球と切れ味鋭いスライダーでほんろう。味方も阪神・藤浪を攻めて六回までに5点を奪い、主導権を握った。

 この日の試合は、20日未明に甚大な被害を出した広島市の土砂災害の発生から初めてマツダスタジアムで行われるゲーム。まだ多くの行方不明者が捜索されている中で、特別な思いもあった。

 試合前にはスタンドの観客も起立し、両チームのナインが黙とう。鳴り物を使った応援は自粛され、球団旗などが半旗で掲揚された。前田も左肩に喪章をつけてマウンドで奮闘した。

 「きょうは完封しないと意味がないと思っていた。うれしいです。良かったです。前の登板はふがいないピッチングだったので、きょうは何とか最後までゼロでいこうと思っていました」

 8月はここまでまだ勝ち星がなかった。前回登板(15日、巨人戦)では“雨中の苦闘”となり、3回6失点の大炎上。上位をうかがうためにも、前田にこれ以上の停滞は許されなかった。

 そんな状況下で藤浪に投げ勝ち、虎の連勝を4で止めた鯉のエース。2位・阪神とのゲーム差を「1・5」に縮めた。

 試合後のインタビューで、前田は被災者からの言葉を明かした。「多くの人から僕のブログに『いまはカープが勝つことだけを楽しみにしています』というコメントが寄せられています。そんな人たちのためにも頑張ります」。

 まだ困難に立ち向かっている人々が近くに、このマツダスタジアムのほんのわずか先に多くいる‐。新たな思いを胸に、エースがVを誓った。

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