【有馬記念】オルフェVに池江師も感動

 「有馬記念・G1」(22日、中山)

 完全無欠というほかはない走りで主役の座を演じ切った。破天荒なキャラクターで愛されたオルフェーヴルのラストランは、最高の形で幕を閉じた。完調とは言えない出来での8馬身差圧勝。池江師は驚き、そして、種牡馬オルフェの子どもで凱旋門賞へ挑戦する気持ちを新たにした。最終レースの終了後には引退式を実施。栗毛の6冠馬は、次章の門出に向けて6万人のファンに祝福された。

 花道にふさわしい圧倒的な強さだ。オルフェーヴルが2着馬ウインバリアシオンにつけた差は8馬身。皐月賞の3馬身差を大きく上回る、自身の最大着差で有終の美を飾った。

 池江師は驚きを隠せない。「ビックリという感じです。あまり状態は良くなかった。能力の高さで勝ってくれた」。完璧な仕上げで臨んだ凱旋門賞から2カ月半。胸を張れる出来ではなかった。それでも、何とかしてくれる。数々の苦難を乗り越えた愛馬をトレーナーは信じていた。

 「(凱旋門賞Vの)トレヴみたいな競馬をしてほしい」。レース前、指揮官は早めのスパートから力で押し切る競馬を指示。「いかにもケンイチ(池添)とオルフェーヴルらしい競馬」と人馬をたたえた。

 国内外で12勝を挙げ、海外を含む総獲得賞金ランキングは15億円を突破。テイエムオペラオーに次いで歴代2位となった。記録だけではない。記憶にも残る数々の伝説を残した。Vを飾ったデビュー戦はゴール後にジョッキーを振り落とし、12年阪神大賞典は外へ逸走するアクシデント。破天荒なキャラクターがファンの心をつかんだ。

 レース後の引退式はディープインパクトの時を上回る6万人のファンが見守った。「さみしいですね」。トレーナーはカクテル光線を照らされたヤンチャな6冠馬に目を細めた。「家族みたいなもの。かけがえのない存在。すてきな3年半でした」と感慨深げに話した。

 凱旋門賞には2年連続挑み2着2回。頂点獲りこそならなかったが、世界トップレベルの実力を示した。まだやれる、来年こそ凱旋門賞制覇を‐。そう願うファンも多いだろう。ただ、日本の至宝ともいうべき血統を継承する使命がある。今後は北海道安平町の社台スタリオンステーションで種牡馬生活を送る。「もちろん、オルフェーヴルの子でフランスへ行きます」。世界の頂点を獲る夢は、その子どもたちに託される。

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