熊本で16日未明に強震、恐怖いつまで…
16日午前1時25分頃、熊本県で震度6強の地震があった。その後、短時間に震度6弱以上の地震が相次いで3回発生。ビルや家屋が倒壊し、県などによると、新たに男女32人が死亡、14日以降の死者は計41人となった。9万人以上が避難し、九州の広範囲で千人以上が重軽傷を負った。
熊本県益城町では14日に最大震度7を観測しているが、気象庁は「今回(午前1時25分)が14日以降に発生した地震の本震」との見方を示した。この最初の震度6強の地震はマグニチュード(M)7・3で、阪神大震災と同じ規模。震源の深さは約12キロだった。
16日未明から続いた地震では大分県内でも家屋が倒壊し、けが人が相次いだ。湯布院や別府では、観光客や住民が避難所などで眠れぬまま朝を迎えた。
自宅で家具が部屋一面に散らばり、手が付けられない状態になった由布市の江藤孝夫さん(72)は「四十数年ここに住んでいるが、こんな地震は初めて」と、予期せぬ自然災害に不安そうな表情だ。
政府は自衛隊や警察などの派遣要員を増強、土砂崩れや倒壊した建物で生き埋めの人もおり、懸命の救出作業を続けた。
最初の震度6強の後、午前1時46分ごろ震度6弱、午前3時55分ごろに震度6強、さらに午前9時48分ごろ震度6弱があった。気象庁は「最大震度6弱の余震が1週間程度は考えられる」と警戒を呼び掛けた。
14日の震度7に始まった一連の地震活動について、専門家は当初の「日奈久(ひなぐ)断層帯」から、北側で隣接する「布田川(ふたがわ)断層帯」に拡大したとみている。大分県の地震は「別府-万年山(はねやま)断層帯」で起きたとみられる。
九州電力によると、熊本県だけで約40万戸が停電した。鹿児島県の川内原発と佐賀県の玄海原発に異常はない。JR九州の在来線は、福岡や宮崎、鹿児島などの区間を除き、始発から運転を見合わせた。熊本空港は発着の全便が欠航した。
