高倉健さん、死してなお日中の懸け橋

 昨年11月に悪性リンパ腫のため亡くなった日本を代表する映画スター、故高倉健さんのトリビュート上映会が14日、中国で開催中の第18回上海国際映画祭で行われ、映画「鉄道員(ぽっぽや)」などでタッグを組み、健さんの「幻の新作」を準備していた降旗康男監督(80)がオープニングセレモニーに出席した。中国最大級の劇場は現地ファンで超満員。降旗監督は、亡くなってもなお日中の懸け橋となる健さんが、最期まで映画作りに情熱を燃やし続けた様子を明かした。

 1058席の大劇場は熱気でムンムンだった。中国で日本人俳優の特集上映が行われるのは初めて。「鉄道員」の上映前にあいさつに立った降旗監督は「肉体は失われても、健さんの精神がずっと残っていくと信じています。時々、抱きしめてあげてください」と目を潤ませると、万雷の拍手を浴びた。

 「新網走番外地」シリーズや遺作の「あなたへ」など高倉さんの出演した205作中20作品でタッグを組んできた降旗監督。メガホンを取るはずだった健さんの幻の新作「風に吹かれて」についても言及した。舞台は阿蘇山。「健さんと、健さんの家族だか家族じゃないんだかという人たちの物語」で、テーマは「老い」だった。

 最後に顔を合わせたのは昨年5月31日だった。健さんが自ら車を運転し、降旗監督の家を訪れた。「後から『医者に車を運転するな、と言われていた』と聞いた。無理して運転し(新作の脚)本について『まとまってきましたね』と感想を言ってくれたのが『やろう!』という意欲の表れだった」と明かし、「『夏にCMを撮るから、秋には大丈夫だろう』と言っていたんですが…」と無念そうに振り返った。

 新たな作品は生まれなかったが、現地で「よき友人」と称される健さんの姿を見ようと、劇場は満員に。中国人は映画のエンドロールを見る習慣がないそうだが、この日は多くのファンが席を立たずに最後まで鑑賞し、大きな拍手を送った。国境を超えて映画界を照らした巨星の輝きは、今もなお日中の懸け橋となっている。

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