りえ「震えています」最優秀女優賞獲得
第27回東京国際映画祭の表彰式が31日、東京・六本木ヒルズで行われ、女優・宮沢りえ(41)が7年ぶりの主演映画「紙の月」(11月15日公開)で最優秀女優賞を獲得した。9月に亡くなった、天国の母・光子さんに最高の報告を届けることになった。同賞は、コンペティション部門候補の15作品の出演女優から選出。日本女優の受賞は03年「ヴァイブレータ」の寺島しのぶ(41)以来11年ぶりとなった。
花柄の着物をまとった宮沢は、名前を呼ばれ登壇すると「震えています。いやー、うーんと」と驚きを隠せなかった。ようやく言葉を絞り出し「おみくじで大吉を引いたときに『やった』と思うと同時に『引き締めなくちゃ』という気持ちがわくのと似ている」と心境を表現した。
宮沢が主要国際映画祭で受賞するのは、01年に香港映画「華の愛~遊園驚夢」でモスクワ国際映画祭の主演女優賞を獲得して以来13年ぶり。9月23日に母・光子さん(享年65)を亡くしたばかり。二人三脚で自らを女優の道へと導いた最愛の母へ、最高のプレゼントとなった。
宮沢は授賞式後の会見は直前で出席を取りやめたが、吉田大八監督(51)が「ものすごく大きな喜びだったのは間違いない」と“代弁”。宮沢から「トロフィーを半分にして“最優秀演出賞”をあげたい」と感謝された“恩師”はさらに、「この映画は“宮沢りえの映画”。女優賞はほしい賞だった」と祝福。審査員も「満場一致」と絶賛した。
「紙の月」は、銀行の契約社員として働く平凡な主婦が、年下の大学生との出会いをきっかけに、巨額横領事件を引き起こす社会派サスペンス。
同作は、観客賞も獲得し、2冠制覇となった。作品賞にあたる「東京グランプリ」は米仏作品「神様なんかくそくらえ」が受賞。最優秀男優賞はポーランド作品「マイティ・エンジェル」でポーランド人俳優、ロベルト・ヴィエンツキヴィチ(47)に輝いた。