「藤井かすみのよもやま話・第１２回＝ミズノ契約プロ」

　５月のミズノオープンで手嶋多一選手が優勝しました。彼は私と同じミズノの契約選手で年齢は一つ下。私がプロになったころからだから、かれこれ２０年の付き合いです。

　毎年、ミズノオープンが行われる週の火曜日に、ミズノの契約選手が集まって食事会が行われるのですが、今年、彼がそこで「上位４人に入って、全英オープンに行きたい」と宣言したのです。

　今年の全英オープンは“聖地”セントアンドルーズで行われます。５年に一度の開催なので、次回は２０２０年。年齢的にも今回がラストチャンスという思いから出た言葉だったのでしょう。彼がはっきりと目標を口にするのはとても珍しいことだったので並々ならぬ決意を感じました。

　“有言実行”の優勝もさすがですが、ミズノのボールで初優勝となったことも、同じミズノ契約プロとしてうれしかったです。

　私から見た彼のイメージは、ヒゲが濃いので朝、そっていても夕方になると真っ青になる（笑）。アゴが出ているのでバックスイングで肩に突き刺さる（笑）といったところでしょうか。ただ、普段から浮ついたことはまったく言わないし、何があってもいつも変わらない。本当にちゃんとした人です。

　ゴルフは天才ですね。特にアプローチが素晴らしい。私の中では１日１回はチップインするイメージがあります。１５年くらい前に彼と一緒にゴルフした時、「アプローチを教えて」って頼んだことがありました。彼が「じゃあ、打ってみて」って言うから打ってみせたら「いいじゃん、それで」って言われて、「コイツ、教える気ねえな」って少しムカついた記憶があります（笑）。来週の全英オープンも堅実なゴルフで上位を目指して頑張ってほしいですね。

　女子ではミズノ契約選手で私が期待しているのが工藤遙加さんです。ただ、大物っぽい雰囲気があるのに、実際はとても気を使うタイプ。いろんなことに振り回されている感じがします。今年も賞金シードを取れるかどうか微妙な位置でやってますが、私に言わせれば「そんなとこでウロチョロしてんなよ」って感じですけどね。いいもの持っているんだけどなぁ。

　◆藤井かすみ（ふじい・かすみ）　１９６７年１１月３０日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。２３歳からゴルフを始め、９５年にプロテスト合格。０１年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算１０勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。１６２センチ、６４キロ。