【2】生き残るためのストイックな日々

 「藤井かすみのよもやま話・第2回=ツアープロの生活2」

 ツアープロというのは、皆さんが思っているほど華やかなものではありません。厳しい勝負の世界で生き残っていくためには、とてもストイックな生活を送っているものです。

 例えば食事。私はトーナメント中、脂っこいものは一切食べませんでした。そういうものを食べると胃腸が反応するのか、背中が張った感じがして、それがスイングにも微妙に影響するからです。

 焼き肉、ラーメンなんてもってのほか。お肉は月に1回食べるかどうかでした。じゃあ何を食べるのかというと基本的には消化に良いもの。ご飯や野菜、お魚などの和食中心です。朝ごはんのような食事を1日3食、食べていましたね。

 その日のラウンドを終えてホテルに戻ってからも自分との闘いは続いています。食事には出掛けますが、せいぜい15分程度。長く椅子に座っていると腰が悪くなるので、さっさと食べて、さっさと部屋に戻ります。部屋ではテレビは一切見ませんし、携帯ゲームもやりません。目がちらついてパッティングに影響するからです。

 代わりにナンプレやナンクロにはまっていました。問題を解いていると、ゴルフの余計なことを考えなくて済みますし、そのうち眠たくなります。部屋が真っ暗だと、怖くてなかなか眠れないタイプでもあったので、自然と眠りにつくことができたのです。

 「そこまで気を使わなくても」と思う方もいるかもしれませんが、トーナメントの優勝争いというのは1打1打の重みが半端じゃありません。1打差で優勝が決まるなんてこともしょっちゅうあります。3日間大会で1日に換算すれば、わずか0・3打。この差が最終日に勝者と敗者を分けるのです。

 正直いって優勝争いをする選手たちに技術の差はほとんどありません。じゃあ、どこで差がつくのかというと、これがさきほど話したストイックな部分であったり、『私はあの子たちより、これだけのことをやってきたんだ』と思えるかどうかなんです。勝負の世界では、どれだけ自分を信じられるかがとても重要なのです。(プロゴルファー)

 ◆藤井かすみ(ふじい・かすみ) 1967年11月30日、山口県岩国市出身。広島・安田女子高時代からソフトボール選手としてならし、東京女子体育短大時代は全日本大学選手権で優勝し、日本代表にも選出。23歳からゴルフを始め、95年にプロテスト合格。01年ベルーナレディースで初優勝を飾り、ツアー通算10勝をマーク。師匠は岡本綾子。夫は競輪選手の高橋健太。現在は兵庫・マスターズゴルフアカデミーでジュニアらを指導。162センチ、64キロ。

編集者のオススメ記事

主要ニュース

ランキング(ゴルフ)

話題の写真ランキング

写真

リアルタイムランキング

注目トピックス