前田凱旋Vだ!シンデレラSは続く

 「大王製紙エリエール女子オープン」(20日開幕、エリエールGC=パー72)

 前週の女子プロゴルフツアー・伊藤園レディースでツアー初Vを飾った、徳島県小松島市生まれで香川西高ゴルフ部出身の前田陽子(29)が今週、香川県三豊市のエリエールGCで行われる大王製紙エリエール女子オープンに出場する。18日は同コースに入り、18ホールの練習ラウンドを行った。段ボール工場で働きながら腕を磨いたという、異色の経歴で注目を集めた苦労人が、勢いに乗って地元・四国を舞台に“凱旋V”を狙う。

 涙のツアー初優勝から2日、今週の舞台・エリエールGCに入った前田には祝福の声が降り注いだ。「優勝は自分でもビックリ。みんなにおめでとうって言われて、素直にうれしいですね」。プロ仲間と抱き合い、次々に求められる握手に笑顔で応えた。

 ゴルフ人生を大きく変える3日間だった。前週の伊藤園レディース。1打差3位からスタートした最終日を70で回り、通算9アンダーで並んだ大城さつきとのプレーオフを2ホール目で制した。

 「いつもよりパットの感覚がいいなとは思っていたけど、優勝の予感なんてなかった」。プロ9年目。優勝が決まり緊張から解き放たれると、大粒の涙があふれた。

 異色の経歴でも話題を呼んだ。08年のプロテスト合格後も、生活費を稼ぐために地元の徳島・小松島市にある段ボール工場でアルバイト。勤務後に練習場でボールを打ち込む生活を今季開幕直前まで続けた。時給750円で働いていた無名の女子プロゴルファーが優勝賞金1800万円を獲得-。まさにシンデレラストーリーだ。

 表彰式のあと、徳島の母・貴子さん(54)に電話をかけると「ウルウルの声で『おめでとう』って言ってくれた」。実家には親戚や友人らから電話が殺到。段ボール工場の社長にも電話で優勝を報告し「とても喜んでくれた」という。

 「プロとしての大きな目標」だった1勝を手に、前田は“地元”四国に乗り込んできた。香川西高ゴルフ部出身で、エリエール女子オープンはなじみ深い大会。会場のエリエールGCは同校と同じ三豊市にあり、高校時代には何度かラウンド経験がある。

 この日は朝から18ホールの練習ラウンドを行い、グリーン周りを中心に入念にコースをチェック。「セカンドショットが難しいコース。しっかりピンに向かって打ちたい」と攻略をイメージした。

地の利生かす

 大会中は徳島から母と2人の妹も来場し、高校時代の友人らも駆けつける予定だ。“地の利”もある大会。「今まで通り、まずは予選通過を目指したい」と控えめに話す一方で、「優勝を機に、もっと上に行きたいという気持ちが出てきた」と意欲ものぞかせた。

 初めてフル参戦した今季ツアーも残り2試合。賞金ランクは34位(約2842万円)まで上昇し、来季シード権も手中にした。余裕を持って迎える今オフ。母子家庭で、家族思いの長女は「母と妹と一緒に温泉旅行に行きたい」と計画を立てている。

 その前に、高校時代に腕を磨いた香川の地で、もうひと暴れしたい。今週は4日間の長丁場。熱い声援を背に“凱旋V”を狙う。

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