春日野親方 傷害事件隠蔽を真っ向から否定「北の湖理事長に報告」

 大相撲春日野部屋の傷害事件で、被害者の元力士矢作嵐さん(22)の師匠だった春日野親方(55)=元関脇栃乃和歌=は25日、東京都墨田区の両国国技館で取材に応じ、2014年9月の事件発生後に、当時の日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱=15年11月死去)らに報告したと明らかにし、自身の隠蔽(いんぺい)を否定した。相撲協会はこれまで公表していなかった。一方で、矢作さんが春日野親方と暴力をふるった元力士に3千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたことがこの日、分かった。

 打ち出し後、春日野親方は自身に向けられていた隠蔽疑惑を真っ向から否定した。前日発覚した弟子同士による傷害事件。これまで公表せず批判を浴びているが、「(事件後)3カ月とか半年ではない、そんなにかからずに報告した。隠したということは全くありません」と、発生後に当時の北の湖理事長らに伝えていた事実を明らかにした。

 事件が起きたのは、2014年9月5日夜。兄弟子だった元力士から、弟弟子だった矢作さんは顔を殴られたり腹を蹴られたりし、顎の骨を折る全治1年6カ月の重傷を負った。元力士が若い力士を集めて掃除の仕方を注意しようとした際、元力士の指示に反し、先輩力士のマッサージ中だった若手も呼びに行ったため、腹を立てた元力士から暴行を受けたという。

 この事件を巡って、矢作さんは14年10月に元力士を傷害容疑、春日野親方を保護責任者遺棄容疑でそれぞれ刑事告訴。元力士は16年6月に懲役3年、執行猶予4年の有罪判決が確定した。親方は不起訴処分になった。またこの日、矢作さんが昨年3月22日付で親方と元力士に3千万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していたことが判明。男性は暴行の後遺症で味覚を消失しており、親方には元力士に対する監督責任があったとしている。

 こうした事実はこれまで公表されなかった。相撲協会の担当者は、16年6月に元力士に有罪判決が確定した時点で矢作さんと元力士が引退していたため、「協会員ではない方の判決で、個人情報の観点からも取り立てて公表するものではない」と説明。妥当な判断だったと主張した。また春日野親方は提訴について「差し障りのない程度で話したいが(裁判に)影響もあると思うので(発言を)控えたい」と語るにとどめた。

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